東京証券取引所の20代社員が不正な株取引に関与したとされる疑惑で、社員から伝えられたTOB(株式公開買い付け)関連情報を基に父親が株を売買し、約700万円の利益を得ていた疑いがあることが31日、関係者への取材で分かった。
証券取引等監視委員会は9月、金融商品取引法違反容疑で社員の自宅などを強制調査。東京地検特捜部への告発も視野に、情報伝達の経緯、方法や取引状況などを調べている。
関係者によると、社員は上場企業が経営に重大な影響を与える情報を公表する「適時開示」を担当する「上場部開示業務室」に在籍。今年に入り、業務で知った複数企業のTOBなどに関する未公開情報を父親に伝えた疑いが持たれている。
この情報を基に、父親は複数の中小企業の株を売買。不正に得た利益は約700万円に上るという。これまでに社員自身の取引は確認されていないとされる。
上場部開示業務室は、企業から適時開示に関する書類の提出を受け、情報に不備がないかなどを公表前にチェックする部署。監視委は、社員の具体的な業務内容や、重要情報を入手した詳しい経緯についても調べている。
金商法は、会社関係者らが業務を通じて知ったTOBなどの重要情報を公表前に伝えたり、株取引を勧めたりする行為を禁じている。