神奈川県内の路上で若い女性を次々と襲って下着まで奪っていた男の裁判員裁判で、横浜地裁は10月31日、男に懲役9年の判決を言い渡した(足立勉裁判官)。
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男は以前も同様の事件を起こして強制わいせつ罪などに問われて服役していたが、数年前に社会復帰していた。しかし、男は再び、1年あまりで4件もの事件を連続で起こし、強制わいせつ致傷罪や強盗致傷罪などの罪に問われていた。
判決で明らかになった、卑劣な男の犯行とは——。
横浜地裁の506号法廷。開廷直前、法廷に被告人の男が現れた。報道によると、2023年2月に逮捕された当時は35歳。短い黒髪、白いシャツにグレーのパンツに身を包み、どこにでもいる中肉中背の中年男性という印象を与える。
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男は開廷前には周囲に笑みすら浮かべる余裕を見せていたが、判決の言い渡しが始まると表情は消えた。
判決で明らかになったのは、2022年6月から10月にかけて横浜市や川崎市で男が起こした事件の手口だった。いずれも被害者は20代の女性。男は未明、ひとりで歩いたりベンチに座ったりしていた女性を狙い、犯行に及んでいた。
ある事件では、いきなり被害者の女性のスカートをまくり、下着を携帯電話で動画撮影しようとして、女性を昏倒させ傷害を負わせた。
また別の事件では、歩いていた女性の胸をつかみ、押し倒してこぶしでなぐるなどの暴行も加えている。男の左腕にはタトゥーがあり、被害女性がそのタトゥーを見ていないと証言したことから、犯行を否認していたが、判決では殴られている最中でのことで、わからなかったこともあり得るなど一蹴した。
この時、男はサングラスをしており、揉み合って落ちたレンズが現場に残されていた。そのレンズから男のDNAが検出されており、証拠として重視された。
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さらに別の事件では、背後から女性の着ていたワンピースのすそをまくり、手首をつかんで倒した。女性が助けを呼ぶと「これ以上助けを呼ぶとぶっ殺すぞ」といって脅し、下着を引き下げた。この際に性的暴行も加えた上、女性に「自分でパンツを脱いで」といって下着を奪った。
弁護人はこの事件について、男が「ダメ元でパンツをもらおうとした」「女性自らパンツを渡した」と主張したが、これも判決では「悪質な態様」と否定された。
足立裁判官は、わずか1年あまりで自らの性的欲求を満たすために4件もの犯行におよんだことに触れ、「厳しく批判される」とした。また、男が被害者たちに対して、被害弁償や謝罪もおこなっていないことも指摘した。
その上で、「被告人はカウンセリングを受けているというが、自分自身の罪に向き合う姿勢は不十分」と厳しく断じた。
閉廷後、判決の言い渡しでは外されていた手錠を再びかけられた男。懲役9年という罪の重さをどう受け止めているのか、その表情は傍聴席から見えなかった。
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