そこで今回は、親が亡くなったときに必要になるお葬式の費用について、株式会社鎌倉新書による2024年3月の「第6回お葬式に関する全国調査」をもとに、どれくらいの金額を見込んでおけばよいのかを分かりやすくご紹介します。
お葬式の種類はいろいろ、お葬式の形態とその割合は?
お葬式にはさまざまなタイプがあり、費用は一般的にはその規模が大きいほど高額になり、規模が小さければ安価になります。まずは、お葬式のそれぞれのタイプについて簡単に解説します。【家族葬】
参列者は親族のみの場合、近親者のみ(一部の友人や仲間だけ)の場合などがあります。通夜、葬儀などが一通りあります。
【一般葬】
参列者は親族をはじめ、知人、地域の方、職場など幅広く集まるお葬式で、通夜、葬儀などが一通りあります。
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通夜がなく葬儀だけの1日だけのお葬式です。葬儀を簡略化しているため、参列者に連絡をしても、予定によっては参列できない事態が想定されます。
【直葬・火葬式】
通夜や葬儀などを行わず、火葬のみで故人を送るタイプのお葬式です。参列は親族等のみとなります。
次は、それぞれのタイプの利用割合を、前回の調査結果と併せて見てみましょう。
お葬式形態ごとの割合
画像の結果によれば、
・家族葬:50.0%(2022年:55.7%)
・一般葬:30.1%(2022年:25.9%)
・一日葬:10.2%(2022年:6.9%)
・直葬・火葬式:9.6%(2022年:11.4%)
2022年の「【第5回】お葬式に関する全国調査」との結果比較では家族葬は5.7ポイント減少、一般葬が4.2ポイント増加しています。
コロナ禍においては、多くの人が一堂に会することで“3密”状態になりやすいという理由から、一般葬が避けられたことが背景にありました。その後は、新型コロナウイルス感染症が第5類に移行し、行動規制が緩和したこともあり、一般葬の割合が戻りつつあることが分かる結果です。
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お葬式にかかる平均総額は約118.5万円。前回に比べ約8万円アップ
次は、お葬式にかかる費用について見ていきます。最新データの葬儀にかかる費用の平均総額は「約118.5万円」(お布施は除く)です。葬儀の費用に含まれるのは、「基本料金」「飲食費」「返礼品」の3つです。前回の調査と比べ、約8万円増加となりました。理由は、参列者の多い一般葬という葬式スタイルの割合が増えたことによるためです。お葬式の基本料金とは、斎場利用料、火葬場利用料、祭壇、棺、遺影、搬送費など、葬儀を執り行う際にかかる費用をいいます。飲食費には、通夜ぶるまい、告別料理などの飲食料が含まれます。また、返礼品は、香典返しの費用です。飲食料や返戻品代は、お葬式の参列者が多ければ、多いほどかかる費用が膨らみます。参考として、お葬式の種類別にかかる費用の平均も見ておきましょう。
お葬式の種類別にかかる費用の平均
葬儀費用の総額(平均)は、最も規模が大きい「一般葬」が約160万円と高額です。しかし、規模が小さい「家族葬」でも約106万円で一般葬の6〜7割。「一日葬」においては約88万円で一般葬の約5割もの費用がかかります。
お葬式にかかる費用の合計は約140.5万円
さらに、お葬式費用の費用とは別にお布施も必要になります。
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ただし、お布施は、地域性や宗教者との関係により変動するものであり、平均額を大きく超え50万円以上という場合もあるようです。お布施は、お葬式には必要な費用のため、相場については、地域で詳しい人に事前に確認しておくとよいでしょう。
まとめ
葬儀については、親が亡くなってから短時間でさまざまなことを決めることになります。葬儀を執り行うのは初めてという方も多く、「どう判断したものか、迷う」ことも多々あるはずです。そうならないためにも、親が元気なときに、万一のときは「葬儀を一般葬、家族葬のどちらがよいか?」「葬儀場はどこがよいか?」などをヒアリングしておくようにしましょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))