揚げ焼きで発火、煮豆で鍋ぶたが吹っ飛ぶ!?流行りの「時短調理」に潜む危険をチェック

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2024年11月01日 22:00  クックパッドニュース

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近年、時間効率を重視するタイムパフォーマンス志向の高まりを受け、手軽な調理器具を使って手間をかけない「時短調理」が人気です。でも取扱説明書や商品パッケージに記載されている注意事項(以下「注意事項」)をよく確認せず、誤った使い方をして事故が起きてしまうケースがあるのはご存知でしょうか。

そこで今回は、製品事故の原因究明を行っている独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の調査結果をもとに、事例や事故防止策をご紹介します。

事故原因で最も多いのは、誤使用・不注意!

2019 年から2023 年にNITEに通知のあった製品事故情報(※1)では、調理家電の事故は合計 494 件ありました。そのうち事故原因が判明した 226 件の中では、使用者の誤使用・不注意が関係しているものが 44%(99 件)を占め、最も多くなっています。

(※1)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非 重大製品事故やヒヤリハット情報(被害なし)を含みます。

また、調理家電の事故における「製品ごとの事故発生件数」を見ると、例年「電子レンジ」「IHこんろ」の事故が多く発生していました。



電子レンジ、注意事項を守らず破裂・破損!

事故が多い「電子レンジ」には、加熱が禁止されている容器や食品があることはご存知でしょうか。それを守らず加熱することで、容器が爆発したり食品が破裂したりする事故が起きています。また、破裂等による影響で電子レンジが破損してしまうこともあります。

簡単にパパッとおいしいものを作ろうとして、禁止されている容器や食品を加熱してしまうのは破裂や発火の原因となり、危ないのでやめましょう。


「IHは大丈夫」は誤解。誤使用・不注意で発火も!

IHこんろは火を使わずに調理できる上に安全機能が充実しているため、火災の心配がないと油断していませんか。ところが加熱によって油の発火温度に達すると、フライパンや鍋の中の油が発火して火災を引き起こすことがあります。油が少ないと温度が急激に上昇するため、安全機能が働く前に発火点に達してしまうこともあり、実際に少量の油を入れて加熱調理していた際にその場を離れていたら出火したという事故が起きています。


たとえ短い時間であっても調理中にその場を離れるのは絶対にやめましょう。やむを得ずその場を離れる場合は、面倒であっても必ず加熱を止めましょう。

また、「揚げ物」調理をする際は、調理前に調理器具の状態(鍋やフライパンに反りや変形がないか等)を確認することや、取扱説明書に定められている油量を守ること、適切な加熱メニュー(モード)を選択することも大切です。

簡単手軽に調理したくても、安全機能を過信せず、取扱説明書に記載されている注意事項をよく確認しましょう。


圧力鍋、意外な食材で鍋ぶたが吹っ飛ぶ?!

短時間でおいしい料理が作れる「圧力鍋」は近年人気ですが、使用前の安全確認や使用後のお手入れを怠ると、危険な事故につながる場合もあります。 実際、圧力鍋で調理中に鍋のふたが飛び、天井とレンジフードを破損するといった事故が起きています。これは、圧力調整装置に調理物が詰まったため、内圧が異常上昇して破裂し、鍋ぶたが飛んでしまいました。


調理の手間や時間を短縮させたくても、以下の点を必ず確認して使いましょう。
・使用前、蒸気口など圧力調整部分に詰まりがないか
・使用前、ふたと本体の間のパッキンにぬめりや劣化がないか
・加圧前、ふたがしっかりと閉まっているか
・加圧後に鍋ふたを開ける時、鍋の中の圧力が完全に下がっているか

他にも、圧力鍋に定められた内容量を超えて調理すると、圧力が正常にかからなかったり、内容物が噴き出したりする場合もあります。



「ちょっとくらい内容量が多いけど、まあいいか」と言うのは危険です。水と食材を合わせて 2/3 以下、豆類・麺類(※2)の場合は水と合わせて 1/3以下の内容量で調理しましょう。

(※2)豆類・麺類は調理によって分量が増え、豆類は皮が圧力調整部分に詰まる可能性があります。

圧力鍋は、ガス・IHで調理するもののほかに、電気を使って調理する電気圧力鍋があります。また、圧力鍋はメーカーや機種によって構造が異なりますが、ここでご紹介した注意点は共通です。他にも注意点はあるので、取扱説明書や注意表示をよく読んで使用しましょう。

事故を防ぐポイントは3つ。個々人で安全性を判断しよう!

『できるだけ手間をかけたくない。』『ちょっとくらいなら大丈夫。』といった気持ちから誤使用・不注意によって大きな事故につながるおそれがあります。調理工程を省いても、安全のための手間は省かないようにしましょう。

事故を防ぐポイント

1.調理前に、取扱説明書及び商品パッケージ記載の注意事項を確認
2.調理中は、絶対にその場を離れず加熱しすぎない
3.調理後は、こまめに掃除をする

各家庭で使用する調理器具・調理環境は違いますし、調理の知識・経験も様々です。また、調理家電や道具は、商品によって注意事項が異なることもあります。
ネット等で色々な「時短調理」の情報を得ることができますが、情報に対する適正性や安全性は、個々人で確認・判断をする意識を持つことも大切ですね。

NITE以外の画像提供:Adobe Stock

参考資料

・“ずぼら調理”が招く危険〜トリセツをよく読んで「調理家電の事故」を防ぎましょう〜(NITE 2024年9月26日News Release)
・鍋・圧力鍋の事故(NITE 注意喚起ポスター)
・圧力鍋を安全に正しく使用しましょう!―入れ過ぎに注意、蓋の洗浄が重要です―(消費者庁 令和3年4月28日 News Release))

取材協力:独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)は「安全とあなたの未来を支えます」をスローガンに、経済産業省所管の法令執行や政策を技術的な面から支援している公的機関です。製品安全センターでは、家庭用電気製品等の事故の原因究明を再現実験により検証し、その結果を情報発信することで、製品による事故の未然防止に貢献しています。

>>NITE公式X(旧Twitter): @NITE_JP
#料理の安心 #キケンを知らせナイト 等のタグで発信します
>>YouTube NITE official

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