自分が働いている会社が倒産したら衝撃だ。倒産や経営危機の多くは、いよいよという瞬間まで隠されていることが多いが、宮城県の50代女性は、こう語る。
「倒産する会社は分かると言うか、やはり動きがあるので察知する事が出来ます」
というのも、女性はこれまで、勤めていた企業が経営危機に陥るのを目の当たりにしてきたからだ。経験を次のように回想している。(文:篠原みつき)
「そこも1年後にはオーナー店になったので、何かがオカシイと思い」
始めは、25年ほど前のこと。某大手弁当チェーンの地方支部でパートをしていたとき、ある異変を感じたという。
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「やたらと直営店を、オーナーを募集しオーナー店にし始めてました。初めて勤めたお店がオーナー店になり、半年後引っ越しをする事になった為、エリアマネージャーに話をしたところ、引っ越し先近くの直営店で、そのまま雇ってもらえる事が出来たので勤める事にしました」
直営店ではすべての運営経費を企業が負担するが、オーナー店にすることで費用をオーナー負担にすることができる。加えて企業はロイヤリティ収入を得られる等のメリットがある。そのまま経営が安定すればよいのだが……
「そこも1年後にはオーナー店になったので、何かがオカシイと思い辞めました」
店を辞めた数か月後、その地方支部は撤退したようで「県内ではしばらくの間その弁当チェーンは無くなりました」と女性は語る。
「残った人は出勤したら張り紙見て倒産を知り、お給料も未払いで…」
その後、「日用品を扱う会社」でパートとして働き始めた。県内の小さなスーパーや近隣県の某大手コンビニチェーンに「食料品以外の品物を卸す会社」だった。「各店舗から発注があった品物を詰めて出荷していました」と振り返る。ところがここも、やがて不穏な動きが始まった。
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「2年くらい勤めた時、社内の人事で配送担当の社員が倉庫内勤務になったり、コンビニ部門だけが別の会社になろうとしたり、経理部長が辞めたり…これは絶対オカシイと思い、勤務地も変わるという事で通えないと理由をつけて辞めました」
不審な人事や退職者などを見て退職したが、「案の定、数ヶ月後に倒産」というから驚きだ。
「残った人は出勤したら張り紙見て倒産を知り、お給料も未払いで…と嘆いていました」
倒産した会社から給料を取れる見込みは薄く、手続きも大変だ。一足早く辞めたのは賢い行動だった。しかも彼女が目にした倒産はこれにとどまらない。その後、おでんの具材を作る加工工場で数年働いたときも……
「作る量が徐々に減り社員さんも2人辞めたりして、これはヤバイと思い、仕事自体が減る春に辞めました。案の定、半年後には倒産」
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またしても異変を察知して給与未払いの被害を回避した女性。「倒産する会社は分かる」という鋭い洞察力がちょっと怖い気もする。
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