近年、顧客から過剰な要求や威圧的な態度を取られるカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)が社会問題となっている。そのような中、「土下座を強要され、実際にしたことがある」という人が7割に上ることが、電話代行サービスのアフターコールナビ(東京都江東区)の調査で分かった。なぜ土下座に応じてしまうのか。企業はいかにしてカスハラに立ち向かっているのか。
●どんなカスハラ被害を受けた?
カスハラを受けた経緯として最も多かったのは「理不尽な言いがかり」で45.7%。「商品・サービスに対する不満」(38.9%)、「クレームへの対応の不十分さ」(37.2%)と続いた。
被害を受けたカスハラは「怒声や罵声を浴びせられた」が最も多く、59.4%に上った。その他「長時間の拘束や繰り返しの来店・電話をされた」(22.8%)、「法的手段をとると脅された」(22.7%)といった回答が上位に挙がった。
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土下座を強要されたことが「ある」とした人は、46.8%に上った。そのうち、土下座を「一度だけした」という人は35.7%。「複数回した」という人は34.5%で、約7割が土下座の強要に応じたことがあると判明した。
●なぜ土下座に応じた?
土下座の強要に応じた理由は「その場を早く収めたかったから」が最も多く、39.1%。「相手の怒りが収まらなかったから」(38.8%)、「相手が怖かったから」(35.5%)と続いた。
また、受けたことがある要求は「謝罪」(45.8%)、「金銭的な補償」(29.1%)、「無償での商品・サービスの提供」(28.9%)などの回答が上位に挙がった。
カスハラに対して、実施している対策とは――。最も多かったのは「対応マニュアルの作成」で32.6%。「上司や経営者への報告体制の整備」(30.1%)、「研修の強化」(29.9%)と続いた。
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実施した対策について「とても効果があった」「やや効果があった」としたのは57.1%に上った。
●「カスハラとクレーム」どう線引きする?
カスハラとクレームの線引きについて、どのように判断しているのだろうか。「顧客対応時の状況に応じて、判断を従業員に任せている」が最も多いく、39.9%に上った。その他「明確な基準を設け、ケースごとに従業員に判断させている」(32.8%)、「複数の従業員で協議し、判断させている」(26.7%)が上位に。現場の判断に委ねているケースが多かった。
経営者の不在時に起きたカスハラへの対応については「上司や責任者が対応を引き継ぐ」が最多で37.5%。「マニュアルで明確に定義されており、それに沿って与えられている権限でできる対応をさせている」(28.5%)、「一定の権限をもたせ、対応を任せている」(26.7%)と続いた。
調査は9月26〜27日にインターネットで実施。自社でカスハラを受けた(または報告を受けた)ことがある経営者を対象とした。有効回答数は1005人。
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