『週刊少年ジャンプ』(集英社)は、現在世代交代の真っただ中。『僕のヒーローアカデミア』と『呪術廻戦』が完結する一方、新たな才能たちによる連載が続々スタートしている。そこで今回は9月から掲載が始まった新連載3連弾について、それぞれの見どころを取り上げていきたい。
まず『週刊少年ジャンプ』41号から新連載第1弾として先陣を切ったのが、『魔男のイチ』だ。原作者は『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)連載のアニメ化作品『魔入りました!入間くん』で知られる西修、そして作画担当は『アクタージュ act-age』の宇佐崎しろということで、意外すぎるビッグネームのタッグとして話題を呼んでいる。
物語の舞台は、魔法が生き物として存在する世界。“魔女”と呼ばれる女性たちだけが魔力を持っており、魔法を習得できるという設定なのだが、主人公・イチはそんな世界で唯一、魔法を使える男となる。第1話では魔女たちが1,000年かけても習得できなかったという伝説の魔法「ウロロ」をイチが習得し、“魔法狩り”の旅に出るという展開が描かれていた。
同作の見どころは壮大なハイファンタジーの世界観で、作中では火山の奥や深海、空の上など、世界中に3,000種類以上の魔法がひそんでいることが示されている。さらに多数の魔女たちが所属する“魔女協会”の設定も登場しており、その世界観の広がりは果てしない。
またイチの身に宿った「ウロロ」は凶悪な力をもつ“反人類魔法”とされており、ことあるごとにイチと丁々発止のやり取りを行っている。『NARUTO-ナルト-』の九尾や『呪術廻戦』の宿儺のように、“強大な存在をその身に宿した主人公”と言えるので、ここからどう展開していくのか期待が高まる。
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ちなみに魔女がメインの世界とあって、イチが頻繁に女性的なファッションになることも一部読者からの反響を呼んでいるようだ。
続く42号から始まった第2弾『しのびごと』は、忍者を題材としたコメディ路線のバトル漫画だ。2021年に同誌で連載された『アメノフル』のたけぐし一本とみたらし三大がふたたびタッグを組んだ連載となる。
舞台となるのは、忍者たちが国家保安を脅かす事案をひそかに解決する「公安警察忍部隊」として働いている現代日本。主人公は“同世代最強”と名高い忍者のヨダカで、裕福な生まれのドジっ子女子高生・向日アオイの護衛任務のため、高校生として学校に潜入することになる。
面白いのはヨダカが圧倒的な実力を持ちながらも極端な人見知りで、コミュニケーション能力が欠如していること。普通は友達との関わり方が分からずにオタオタしているのに、任務の時だけ覚醒する……というギャップのかっこよさは王道の少年漫画らしさがある。
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そして43号から始まったのが、新連載の第3弾『白卓 HAKUTAKU』。“ゲーム作り”を題材とした斬新な漫画で、作者の石川光貴は同作が連載デビュー作となる。
いじめられっ子の高校生・日隈橙は、パシリをゲーム感覚で楽しむ変わり者。そんな彼はゲーム制作者を志す同級生の能登來暇に才能を見出されたことをきっかけに、ゲーム制作の世界へと没頭していく……。
圧倒的な発想力をもつ日隈橙と、ゲームの中身を面白く作れないが拡げる・届けることは得意な能登來暇。異なる才能をもつ高校生バディが仲間を集め、ライバルたちと競い合いながら面白いゲームを作っていく青春ストーリーだ。
ユニークな設定はもちろん、漫画としての“魅せ方”が上手いのも同作の魅力。 第1話のラストシーンでは、日隈が記念すべき第1作目のゲームを作り上げた興奮の瞬間を見開き4ページを使って大胆に描き出し、SNS上でも話題となった。
バディによる創作モノということで、『バクマン。』を連想する人も多いようだが、同作に匹敵する大ヒット作になれるかどうか要注目だ。
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3作品とも、王道の熱い展開がありつつユニークな試みが満載の意欲作。熾烈な連載枠の競争を勝ち抜いてくれることを期待しつつ、今後の展開を見守っていきたい。
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