元保護猫の「ガブリエル」さん(通称:ガブさん)と、Xユーザーの飼い主・Yuki Yamaguchi(@ginzastreetcat)さんとの出会いは、2018年5月のこと。
【写真】保護当初…トリモチを除去したため、被毛が禿げてしまっていた猫さん
飼い主さんが知人から「捨て猫がいる」という連絡を受け、見に行った先で出会ったのが、痩せ細り、体にはトリモチがべったりと付いた小さなガブさんでした。「保護しようとしましたが、すごく苦労しました」と振り返ります。ガブさんは人通りの多い場所にいて、なかなか保護できなかったものの、運良く警察官の協力もあり、ついに保護されました。
ガブさんはすぐに動物病院へ。子猫のように小柄であったものの、獣医師の診断により推定7歳という年齢が判明。小さな体に隠された年月に、飼い主さんは驚きつつも、彼女を迎え入れる決意を固めたのでした。新たな生活がここから始まります。
少しずつ築かれた信頼と絆
保護されたばかりの頃、ガブさんはとても痩せており、飼い主さんが語るように「少しずつふっくらとして、健康を取り戻していきました」。彼女との信頼関係もゆっくりと育まれ、今ではトイレの後に「お尻、拭いて」と訴えながらゴロンと寝転がるほどに。そんな微笑ましい行動が、二人の絆の深まりを物語っています。
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さらにガブさんは、飼い主さんに対して「たくさんおしゃべりしてくれる」そうです。飼い主さんはまだ“猫語”を完全にはマスターしていないと言いますが、それでも「留守中の出来事を報告してくれているような気がします」と嬉しそうに話します。
人間と動物の間には言葉がなくとも、心の通じ合いが感じられる瞬間があるものです。
猫が苦手だった夫とガブさんの関係に変化
飼い主さんの夫は元々、猫が苦手だったそうです。しかし、ガブさんとの出会いがその状況を一変させました。
最初はお互いに距離をとっているように見えましたが、今ではすっかり仲良くなっています。特におもしろいのは、ガブさんがあえて苦手な相手に近づいていくという行動。「ガブさんは抱っこが嫌いですが、夫の膝には自ら乗っていくんです」と飼い主さんは微笑みます。どうやら、ガブさんはちょっとした意地悪を楽しんでいるようです。
ある日、飼い主さんのスマートフォンに「二人は親友。長い時間の果てに」というキャプション付きで、ガブさんを膝に乗せたまま眠っている夫の写真が表示された瞬間、思わず大笑いしてしまったことも。「AIが良い仕事をしているなと思いました」と、笑いながら語ってくれました。
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ガブさんと夫との間には、言葉には表せない特別な絆が育まれているのでしょう。
ガブさんと共に過ごす未来
今、13歳となったガブさんは、年齢を重ねるごとに食事量が減り、少しずつ体に変化が現れ始めています。
飼い主さんは、かつて実家で何匹もの保護猫たちと暮らし、その寿命を見送ってきました。猫たちの寿命が人間よりも短いことを、痛感しているといいます。
それゆえに、ガブさんとの残された時間がとても貴重で、大切なものだと感じているのです。「ガブさんが望む環境を整えてあげたい」と、飼い主さんは思いを込めて語ります。
飼い主さんにとってガブさんは、単なる同居猫以上の存在。「猫を飼っているというよりは、ガブさんとルームシェアしている感じです」。
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ガブさんとの生活が、まるで家族や友人と同じように深く心に刻まれていることがうかがえます。「ガブさんは、私にとってかけがえのない親友です」。その言葉には、13年という長い時間を共に過ごしてきた、深い愛情と絆が宿っているのです。
これからも、飼い主さんはガブさんの望む生活を大切にしながら、一日一日をかみしめるように、心温まる日々を過ごしていくことでしょう。
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)