<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯>◇8日◇東京・代々木第一体育館◇男子ショートプログラム(SP)
前回王者の鍵山優真(21=オリエンタルバイオ/中京大)が、今季世界2位となる105・70点で首位発進を決めた。自身にとっての今季GPシリーズ初戦で、貫禄の演技を披露した。女子は坂本花織(シスメックス)が今季世界最高の78・93点をマークし、首位に立った。NHK杯ではコロナ禍で変則開催だった20年を除けば、史上初の男女SPワンツースリー発進。総合での表彰台独占となれば06年以来18年ぶりとなる。
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鍵山は両拳を突き上げて、込み上げる達成感をかみしめた。「周りをしっかりと見ながら演技に入り込むことができた」。冒頭の4回転サルコーからトリプルアクセル(3回転半)まで全てのジャンプを流れるように着氷。スピンやステップシークエンスでも最高のレベル4をそろえ、自身のGPシリーズ初戦で今季世界2位の高得点をたたき出した。
「いつも通り」。それができたことがうれしかった。家族に「バラバラ。調子が悪い」と漏らすほどだったのは数週間前。日々の自制心で改善させた。先月から1人暮らしを始めたが「私生活からアスリートとしての責任感を持ちながら、恥じないような行動をすることを毎日意識している」。専属栄養士の助言を取り入れながらバランスの取れた3食の食事管理や8時間の睡眠を徹底した。「あの時以上のコンディションで臨めることがすごくうれしくて」。あの時とは、総合310・05点の自己ベストを記録して銀メダルを獲得した22年北京五輪。左足首の疲労骨折で長期休養を強いられ、ゼロからの再出発と競技に向き合い続けて約2年。北京を上回る状態にまで仕上げてきた。
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23年大会は同年の世界選手権を制した宇野昌磨さんをかわして初優勝。追われる立場になったが「周りの選手は僕を超したいという気持ちがあるかもしれないけど、僕も上を目指したい」と挑戦心は変わらない。会心の演技も、いつも通り楽しく滑りきった結果。「自分を信じて、最初から最後までやりきることができたので、そこは1つ成長したかな」と満足げにうなずいた。
今季初めての300点超え、そして自己ベスト更新を狙うフリーへの姿勢も変わらない。「自分の感覚に全てを任せてやっていくだけ」。鍵山のシーズンはここから加速していく。【勝部晃多】
○…演技を終えた三浦は「いやあ、もう全部怖かったです」とジャンプに向かう心境を吐露した。左太もも痛を抱える危機に、結果は正反対。4回転2本を含む全ジャンプを決め、得点は自身初の100点超えの102・96点。「何か抱えている時の方がうまくいっている印象がある…」と心境は複雑ながらも、ファイナル行きにほしい2位につけた。演技前にはトイレで遭遇した本田武史氏に「ループのコツを教えてください」と直撃。フリーでの4回転の構成に自信を持って臨む。
壷井達也(前回大会SP最下位の悪夢を払拭し)「何としても打ち勝たないといけないという強い気持ちでスタートのポーズに立った。自分の練習を信じて、体が動くままに演じ切った」
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