限定公開( 1 )
コンテナを並べたようなビジネスホテルが、日本各地にぞくぞくと出現している。2018年12月、栃木県に1号店がオープンして以降、郊外を中心に月2店舗のペースで増えている。現在その数は91店舗、3290室に達している(10月31日時点)。
【画像】コンテナホテルの見た目、客室内の様子、設備(ダブルルームで1泊6200円程度から)
運営会社はデベロップ(千葉県市川市)というホテル事業や建築不動産事業などを手掛ける企業で、「HOTEL R9 The Yard(ホテル アールナイン ザ ヤード、以下:R9)」というブランド名で展開している。担当者に主な利用客や狙いを聞いた。
●コンテナ一つ一つが客室
建物の骨格となるのは、同社が建築用に開発したコンテナモジュールだ。その武骨な外観に反して、内装は一般的なビジネスホテルのような、ベッド、デスク、椅子、小型冷蔵庫、ユニットバスを備えた空間が広がる。
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コンテナ一つ一つが独立した客室であるため、静粛性やプライバシー性が高いのも特徴だ。また、コンテナだけに移設もしやすく、災害などの有事には被災地でも活躍するという。
ターゲットは主に国内のビジネスパーソンであり、出張利用がその多くを占めている。インバウンド客にも人気があるのかと思いきや、担当者によると「全体の1割にも満たない」という。とはいえ、宿泊したインバウンド客からも好評でSNSを通じて「スタッフの対応が良く、清潔で快適に過ごせた」などの声が寄せられている。
●評価されているポイントは
オープン以来安定して稼働しており、開業1年以上が経過した店舗における稼働率は80%、リピート率は約40%に上る。リピート客にはどこが評価されているのだろうか。担当者に聞くと「コンテナに泊まる体験」の物珍しさはもちろんだが、「価格の安さ」「清潔さ」が評価されていると話す。
「オンライン宿泊予約サイトの口コミでは、『室内が清潔、部屋の中に電子レンジが付いていて便利』『価格が安い』という内容が多く挙がっており、印象に残っています。実際、ホテルの運営マニュアル(清掃やサービス)はシンプルにしており、全店舗一貫したサービスを提供するようにしています」(担当者)
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ダイナミックプライシングを導入しているため宿泊料金は変動するが、「HOTEL R9 The Yard 本庄」(埼玉県本庄市)の場合、ダブルルームは1人1泊あたり6200円から。初めは「一風変わったホテル」として興味を持った宿泊客が、コスパの良さに満足してリピートしているのかもしれない。
デベロップによると今後も引き続き店舗開発を続け、2030年までに200店舗・1万室を目指しているという。「出張先の宿はコンテナ」というスタイルは、今後定着するだろうか。
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