「最初で最後のタイミングだと思ったので、ギリギリまでしっかり悩んで結論を出すことが出来たのかなと思います」。
ロッテの西野勇士が12日、今季取得した国内FA権を行使せずに残留することを決めた。
西野は08年育成ドラフト5位でロッテに入団し、12年11月に支配下登録を勝ち取ると、支配下1年目となった13年に9勝をマーク。14年から3年連続20セーブ以上マークしたが17年と18年に低迷、19年にアメリカで自主トレを行い、そこで新しい感覚を身につけ同年先発、リリーフに37試合に登板し、防御率2.96と復活した。しかし、20年に右肘のトミー・ジョン手術を受け、20年、21年と一軍登板がなかったが、22年がリリーフ、23年からは先発に再転向し、今季はシーズン自己最多タイの9勝を挙げた。
西野は1991年3月6日生まれで、“90年世代”。ロッテで一緒にプレーした加藤翔平(中日)をはじめ、金子侑司(西武)、鍵谷陽平(日本ハム)といった同じ“90年世代”の選手たちが今季現役を引退した。同学年の選手に現役引退が増えてきた中でこの年齢で、FAについて悩めること、来季から3年契約を結び、3年間現役選手としてプレーできる喜び、プレッシャーはあったりするのだろうかーー。
「喜びですかね。まだまだやれると自分の中で思っているので、プレッシャーは正直そんなに感じていないです。高校出て、育成で入った僕が長くやれるのはすごい喜びかなと思います」。
◆ マリーンズとは…
チームが勝利するため、熱い応援で選手を支えてくれるのがマリーンズファンの存在だ。
西野は「やっぱり、すごく熱いファンですし、本当に後押ししてくれるというか、力をくれる存在かなと思います」と感謝した。
最後に西野にとって、“マリーンズとは”どういうものなのだろうかーー。
「マリーンズとは…、う〜ん、難しいですけど」と少し考えた後、「家族みたいな感じですかね、はい」。
振り返れば、守護神・益田直也も19年国内FA権を行使せず残留を決めた際、“マリーンズとは”について質問すると、「う〜ん難しいですね」と1分近く考えた後、「娘の名前もマリーンズからとっているので、家族くらい好きな存在ですね」と話していた。
西野に、益田も“マリーンズとは”の質問に“家族くらい好きな存在”と話していたことを伝えると、「よかったです」と笑顔で返してくれた。
育成選手でプロのスタートを切り、“支配下登録”、“3年連続20セーブ”、“低迷を乗り越えての復活”、“故障を乗り越えての復活”、何度も這い上がってきた背番号“29”。来年からの3年間もマリーンズ投手陣を支えていく。
取材・文=岩下雄太