この夏の猛暑や長引く異常な高温と多くの自然災害による出荷の減少などの影響を大きく受けた野菜の価格が、例年の平均値や、前年の価格を上回っている。
その状況下で、今年の8月中旬ごろからぐんと価格が下がり、9月中旬以降、安定した価格で販売されている野菜がじゃがいもだ。
東京都卸売市場での1kgあたりの価格が、今年の5月以降はぐんぐん上がり、6月のピーク時には355円だったもののその後は下がり続け、9月の中旬以降は価格が安定。直近の価格は113円と、ピーク時の約3分の1に下がり、例年の平均値や前年の価格も下回っている(農林水産省「日別情報グラフ(青果物)」より)。ここ1年の価格の推移を見ても、春〜夏に一時的に上昇した以外は、安定している。
■卵に不足する栄養素をじゃがいもが補う!
そのじゃがいもと、価格の優等生と言われる卵の組み合わせは認知症予防効果が期待できるという。
|
|
その理由を管理栄養士の土肥愛子さんに教えてもらった。
「卵は卵黄部分に、脳神経系の働きを活性化させ認知症予防にも効果的とされるレシチンという成分が多く含まれています。
栄養価の高い食材として知られている卵ですが、食物繊維とビタミンCは含まれません。
その2つの栄養素のほか、卵黄に含まれるレシチンの構成成分であるコリンが、体内で記憶などの脳機能にかかわる神経伝達物質のアセチルコリンに変わることを助ける働きのある葉酸もじゃがいもには含まれています。
卵と一緒に食べることで、主な栄養素をバランスよく取れ、認知症予防につながるんですよ」(土肥さん、以下同)
|
|
卵の価格も上がりつつあるが、それでも現在のMサイズの卵の価格相場は1個あたり約17円。ほかの食材の価格を考えるとまだまだ安価な庶民の味方(JA全農たまご相場情報より)。
じゃがいも同様、手軽に手に入れられる食材のため、活用しない手はない。
そこで土肥さんに、じゃがいもと卵に加え、認知症予防に効果のある食材も組み合わせた、スペシャルなポテトサラダのレシピを提案してもらった。
■「サバ缶と温泉卵ののっけポテサラ」はサバ缶がポイント
「サバに含まれるDHAや、ビタミンB12が認知症予防に効果があります」
|
|
「ツナとオリーブとチーズのさっぱりポテたまサラダ」には、前出のサバ同様にDHAやビタミンB12を豊富に含むツナ缶を使用。
「抗酸化物質を含むオリーブとオリーブオイルや、乳由来ペプチドを含むチーズを加えることで、より認知症予防への効果が期待できるレシピにしました」
「納豆とチーズのスパニッシュオムレツ風」は、ポテトサラダ以外でも楽しめる、じゃがいもと卵を使った認知症対策レシピ。
卵に含まれるレシチンやじゃがいもに含まれる葉酸のどちらも含む納豆がポイントだ。
どのレシピも、和洋どちらの料理にもよく合って使い勝手がいい。安価なじゃがいもと卵を賢く使い、認知症予防に役立てよう。
■なぜ、じゃがいものが認知症予防にいいの?
認知症予防には「栄養素をバランスよく、しっかり取ること」が大切。
卵と組み合わせることで、卵に足りない栄養素を補い、主な栄養素がバランスよく取れるようになり認知症予防の効果が期待できる。
また、卵に含まれる認知症予防に効果的な栄養素を体内で神経伝達物質に変える働きを助ける葉酸も含む。
■なぜ、卵が認知症予防にいいの?
卵の卵黄には脳神経系の働きを活性化させ、認知症予防にも効果的とされるレシチンが含まれている。
またこのレシチンが体内で神経伝達物質であるアセチルコリンに変わるときにビタミンB12や葉酸といった栄養素がその働きを助けるので、葉酸を多く含むほうれん草やアスパラガス・納豆など、またビタミンB12を多く含むサバやアサリ・シジミなどの魚介類、のり・ワカメなどの海藻類と組み合わせるとよい。
■ツナとオリーブとチーズのさっぱりポテたまサラダ
【材料】(2人分)
・じゃがいも…2個
・ゆで卵…2個
・ツナ缶…1缶
・ブラックオリーブ…6個
★オリーブオイル…小さじ2
★白ワインビネガー…小さじ2
★塩…小さじ1/4
★黒こしょう…適量
・パルメザンチーズ…適量
【作り方】
(1)じゃがいもは皮付きのままよく水洗いしてぬれたキッチンペーパー、ラップの順で包み、600Wの電子レンジで8分加熱する。粗熱が取れたら皮をむき、食べやすい大きさに切る
(2)(1)のじゃがいもと、殻をむいてひと口大に切ったゆで卵、汁気を切ったツナ缶、3〜4mm幅にスライスしたブラックオリーブをボウルに入れ、★印の調味料を加えてあえたら器に盛り付け、仕上げにパルメザンチーズを振る
【ポイント】
ツナに含まれているDHAは脳の構成成分で脳を活性化させるので、記憶力や判断力の向上などが期待できる。またビタミンB12も多く含まれており、卵と一緒に取ることで、卵に含まれるレシチン(コリン)という成分の働きを高める。オリーブとオリーブオイルに含まれる抗酸化物質は、細胞の酸化ストレスを減らし、認知機能障害のリスクを低下させる。チーズの発酵工程で生成される乳由来ペプチドには、記憶機能改善効果がある。
■サバ缶と温泉卵ののっけポテサラ
【材料】(2人前)
・じゃがいも…2個
・マヨネーズ…大さじ2
・塩・こしょう…各少々
・サバ缶…1/2缶
・温泉卵…1個
・刻みねぎ…適量
・やきとりのタレ…適量
【作り方】
(1)じゃがいもは皮付きのままよく水洗いしてぬれたキッチンペーパー、ラップの順で包み、600Wの電子レンジで8分加熱する。粗熱が取れたら皮をむき、食べやすい大きさに切ってマヨネーズ、塩・こしょうであえて器に盛る
(2)サバ缶は汁気を切って食べやすい大きさにほぐす
(3)(1)のじゃがいもの上に、(2)のサバ缶、温泉卵を順にのせ、仕上げに刻みねぎを散らしてやきとりのタレを回しかける
【ポイント】
サバに含まれているDHAは脳の構成成分で脳を活性化させるので、記憶力や判断力の向上などが期待できる。またビタミンB12も多く含まれており、卵と一緒に取ることで、卵に含まれるコリンの働きを高める効果が。
■納豆とチーズのスパニッシュオムレツ風
【材料】(3〜4人前)
・じゃがいも…1個
・卵…3個
・刻みねぎ…20g
・納豆…1パック(タレ付きのもの)
・ピザ用チーズ…70g
・しょうゆ…小さじ1
・油…適量
【作り方】
(1)じゃがいもは皮をむいて細切りにし、耐熱皿にのせ広げたらふんわりとラップをして、600Wの電子レンジで2分加熱する。納豆は添付のタレと混ぜ合わせておく
(2)ボウルに油以外の材料をすべて入れて混ぜ合わせ、油を熱したフライパンに流し入れて中火で焼き、縁が固まってきたら蓋をして弱火で5分ほど焼く。周囲をゴムベラで整えフライパンよりも大きい皿をかぶせて裏返して戻し入れる。蓋をせずに、弱火で3分ほど焼いたら火を止め、食べやすい大きさに切って器に盛り付ける
【ポイント】
納豆には卵と同じくレシチンが比較的多く含まれていて、記憶などの脳機能にかかわる神経伝達物質のアセチルコリンを作るのを助ける。また納豆に含まれる葉酸には、コリンが体内でアセチルコリンに変わるのを助ける働きがあるので、卵と一緒に取るとより効果的に。
動画・画像が表示されない場合はこちら
|
|
|
|
Copyright(C) 2024 Kobunsha Co., Ltd. All Rights Reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。