FileMakerのAI関連機能、Claris Studioの提供開始と、盛りだくさんの「Clarisカンファレンス2024」

0

2024年11月14日 09:11  マイナビニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
2024年11月13日〜15日、虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区)で「Clarisカンファレンス2024」が開催されている。FileMakerをはじめとするClarisプラットフォームを利用する開発者やユーザー、利用を検討している方々などが集う、日本最大規模のClaris関連イベントだ。

○カンファレンスは11月15日まで開催、これからでも参加できる



このカンファレンスでは3日間にわたって多くのセッションやワークショップが実施され、スポンサー企業が出展しているブースでも情報を収集することができる。現地に行けない場合は、一部のセッションをオンラインで視聴することもできる。リアル会場もオンラインも、カンファレンスのウェブサイトで、無料の参加登録を受け付けているので、関心のある方は参加してみていただきたい。



開催初日である11月13日午前中には、オープニングキーノートでClarisの最新情報が紹介された。それを受けてマイナビニュースでは、同日午後にAndrew LeCates(アンドリュー・ルケイツ)氏、Ronnie Rios(ロニー・リオス)氏、日比野暢氏にインタビューした。その模様をお届けする(各氏の詳しい肩書きは写真とともに記載。以下、記事中は敬称略)。

○今回のカンファレンスではAI関連セッションの多さが目を引く



-- Clarisカンファレンス2024が始まりました。カンファレンスの様子はいかがですか?



ルケイツ 私は何度も来日してイベントにも参加しているので、顔見知りのお客様や開発者の方々も多く、ホームに戻ってきたような嬉しい気持ちです。カンファレンスの内容としては、昨年からAIの話が増えていますね。日本の皆さんが新しい技術をどんどん取り入れているのを見て、こちらも頑張らなくてはと思います。


リオス 私は日本に来ること自体が初めてです。夢が叶いました。私はAI関連の担当マネージャーなのですが、AIに関するセッションが多いことに驚くと同時に、皆さんの進化の速さを見て嬉しく思っています。



ルケイツ CEOのブラッド・フライターグも今回の参加を楽しみにしていたのですが、個人的な事情で最近退任しました。後任の暫定CEOはRyan McCann(ライアン・マッキャン)です。ライアンはすでに約12年間Clarisで仕事をし、日本にも何度も来ています。10月から始まった新会計年度の計画はすでに決まっていますし、他の経営陣は変わっていません。Clarisのビジネスは堅調ですので、ご安心ください。

○顧客のDXの成功やAppleとのコラボでClarisのビジネスを成長させる



-- Clarisがターゲットとしているのは、どのような顧客層でしょうか。



ルケイツ 「問題解決者」の方々です。職場の課題を認識し、忍耐強く解決していこうという方々ですね。主に中小企業を対象と考えていますが、11月13日に新たに公開した導入事例の小田急電鉄様のように、大手企業の中の部門でも使われています。



日比野 日本では日経225の大手企業のうち 約85%にFileMakerが導⼊されています。ただ、そもそも日本では中小企業の数が圧倒的に多いので、やはり中小企業のお客様が多いということになります。


-- Clarisのビジネスを成長させる方法は、すでに導入されている企業の中でライセンス数を増やすか、顧客企業の数を増やすか、ということかと思います。どのような方針で臨んでいますか?



ルケイツ まず企業内のある部門が導入し、DXを成功させて、それを拡張していくことが望ましいと考えています。Claris製品を使うことで価値を理解していただけるので、そこから成長が見込めます。そして新規のお客様を獲得するために、Appleの子会社であることを強みとし、戦略的に活用しています。特に米国では、Appleとの協力で教育分野への導入が進んでいます。Claris Connect for Apple School Managerを学校に導入することで、学校にとっては生徒の情報を簡単な設定で統合できる利点があり、Appleにとっても価値が高まります。



-- FileMakerを活用したスモールビジネスとして「なごみ薬局」の成功事例が10月にAppleのウェブサイトに掲載されました。これもAppleとのコラボレーションの一例でしょうか。



ルケイツ そうですね。製品の面でもマーケティングの面でも、コラボレーションしています。



-- FileMakerとAIについては後ほど質問しますが、それ以外に、Clarisとしての現在の取り組みにはどのようなものがありますか?



ルケイツ 今月リリースしたFileMaker 2024(21.1)で、Claris FileMaker Serverの Data APIとOData APIの年間使用制限を取り除きました。費用を気にしてこうした機能を使わなくなってしまうこともあったかもしれませんが、システムの統合は重要ですので、費用を気にせずに使ってほしいという考えによるものです。同様に、ツールを自由に使ってもらいたいという考えから、Claris ConnectについてもClaris製品間のフローを有償の対象としてカウントしないことにする予定です。時期は近々……、年内には実現したいと思っています。


○Claris Studioはまずカンファレンス来場者に公開



-- Claris Studioはこれから日本で公開されるとのことですので、基本的なことから質問します。Claris Studioを使う上で、FileMakerやClaris Connectの利用は必須ですか?



ルケイツ Claris Studio単独でも、ウェブのフォームを作ることはできます。しかしFileMakerと連携することで、さらに高い価値が生まれます。そして両者をつなぐ方法としてはClaris Connectが最適です。



-- 午前中のオープニングキーノートで「このカンファレンスでClarisブースに立ち寄っていただいた方に、日本限定の無償オファーがあります」という話がありました。これについて詳しい説明をお願いします。



日比野 会場にお越しいただいてClarisブースに立ち寄った方、そしてFileMakerの有効なメンテナンス契約をお持ちの方に、プレビュー版を無償で提供します。Claris Studioは、米国でリリースされてから日本でリリースされるまでに時間がかかりました。その間にテストをしてほぼ完璧に動いていますが、今回来場された方に限定して公開することで利用人数を絞り、新たな意見を聞かせていただいて、機能の追加などをするかもしれません。



-- カンファレンス来場者以外への今後の提供は、どのような予定ですか?



ルケイツ 未定です。今回来場されたユーザーのコミュニティからスタートすることでClaris Studioの価値をわかっていただき、当社も学びながら、アジャイルに進めていきます。

○AIによるセマンティック検索ができるようになったFileMaker、進化するAIのテクノロジーに今後も対応していく



-- 2024年6月にリリースされたFileMaker 2024でAIに関するスクリプトステップと関数が追加され、セマンティック検索が可能となりました。ユーザーからの反応はいかがですか?



ルケイツ ユーザーの皆さんが興味を持ち、急速に取り入れています。特に今回のカンファレンスではAI関連のセッションも数多く実施され、日本のコミュニティは海外と比べても先進的です。



リオス 11月のリリースでは、画像のセマンティック検索もできるようになりました。テキストで画像を検索できるだけでなく、画像で画像を検索することもできます。午前中のオープニングキーノートでお見せした例は20万点もの画像を管理しているアーティストのデータで、作品を使う機会があるたびにその中から探す必要があります。作品を探すのにこれまで数時間かかっていたのが数分になったそうです。


-- FileMakerにAIを組み込める利点はどのようなことでしょうか。



ルケイツ FileMakerにこれまで長年蓄積されたデータには、インサイトが隠れています。開発者はツールさえあれば、AIドリブンで隠れたインサイトを見つけるカスタム Appを開発できます。こうした価値を得るために、Clarisはエンタープライズレベルのセキュリティを確保したプラットフォームとして、安全で責任ある形できちんとした選択肢をお客様に提供します。一方、カスタム Appを使うユーザーは、ChatGPTなどの登場によりチャット形式でAIを使うことに慣れています。あるユーザーが「ChatGPTに質問すると、ChatGPTが何を知っているかはわかる。けれど私が求めているのは、ChatGPTが何を知っているかではなく、私のデータではどうなのかということです」と言うのを聞いたことがあり、印象に残っています。まさにこれを実現するのがFileMakerのセマンティック検索です。



-- FileMakerのAI関連の機能として今後予定されていることを聞かせてください。



リオス LLMとの統合をより簡単に、セキュアにできるようにする予定です。また、オープンソースのモデルをローカルで使用できるようにして、動作速度とセキュリティの両面がさらに向上するようにします。



ルケイツ 他にもいろいろなテストをしながら優先順位を考えています。とにかく急速に変化しているテクノロジーですので、それに対応していきます。



-- アジャイルに進化していくということだと思いますが、そうなると、このプラットフォームで開発をする開発者はついていくのが大変ですね。



ルケイツ そうですね、そのためにさまざまなリソースを提供していきます。最近ではFileMakerとAI、セマンティック検索に特化したウェブページを公開しました。YouTubeでも、セマンティック検索に関する一連の動画を公開しています。こうしたリソースをシリーズ化して、今後も順次公開していく予定です。



-- ところでAIといえば、最近注目されているトピックのひとつがApple Intelligenceだと思います。Claris製品とApple Intelligenceの関わりについてはどう見ていますか?



ルケイツ Apple Intelligenceは個人のコンテクストを重視するものであり、企業で利用されるClaris製品とは方向性が違うと思います。しかしApple Intelligenceによってさらに多くの人がAIに触れることになり、それによってお客様の期待値も変わるでしょう。多くの人々がどう使っていくかということに関心を持っていますし、そこから学んでいきたいと思っています。(小山香織)

    ランキングIT・インターネット

    前日のランキングへ

    ニュース設定