日産自動車は「NISSAN SERENA presents WONDER HUNTER」なるプロジェクトを開始した。いわく「家族のおでかけを通して子どもの成長につなげ、親である大人も知らなかったようなワクワクする体験を提供」するとのことだが、いったいどんなプロジェクトなのか。発表会を取材してきた。
現実世界とデジタルが融合?
「NISSAN SERENA presents WONDER HUNTER」(以下、WONDER HUNTER)は、アクティビティを通して自然や文化に触れ、子どもに学びや成長の場を提供する「家族版アドベンチャーツーリズム」だ。プロジェクトの開始日は11月13日で、終了日時は未定となっている。
具体的には、全国28カ所から認定したアドベンチャーツーリズム施設(WONDER HUNTER SPOT)のアクティビティに挑戦し、アクティビティのジャンルによって設定された「氷あるき」「川くだり」など17種類のスキル獲得を目指すという内容。スキルは施設に設置されたバーコードを読み込むことで獲得可能だ。
スキルの獲得数によって、アプリ上で「ビギナーハンター」「スーパーハンター」「エリートハンター」「マスターハンター」「レジェンドハンター」の称号が与えられる。
特設サイトからスキルを選んで体験を予約し、目的地までのドライブを楽しんだ後、実際にアクティビティを体験すればスキルをゲットできる。家族との思い出を作りながら、RPGゲーム感覚で学びや成長が得られるところがポイントといえる。
WONDER HUNTERの利用自体は無料だが、移動やアクティビティ参加にかかる費用は参加者の負担となる。現在は季節に合わせた冬のアクティビティをラインアップしているが、2025年3月に予定する一部アップデートで春・夏向けのアクティビティを追加する予定だという。反響によっては称号に応じた企画も検討するということなので、ぜひ家族でチャレンジしてみてほしい。
家族を外遊びに連れ出す「セレナ」も進化
日産がWONDER HUNTERを始めた理由とは? 背景には「子どもの外遊び離れ」がある。
国土交通省によると、1日のうち外で2時間以上遊ぶ子どもは全体のわずか9%にとどまる。一方で、近年の研究では、外遊びの体験が豊富な子どもは、そうではない子どもと比べてチャレンジ精神が高い傾向にあることが示されている。「子どもたちの物事に対する姿勢や考え方といった非認知能力が、外遊び離れによって失われつつある」現状が浮き彫りになっているというのが日産の見方だ。
こうした背景を受け日産は、30年間にわたって家族に寄り添ってきたミニバン「セレナ」で何かできないかと考え、「WONDER HUNTER」を企画した。
発売となったばかりのセレナのe-4ORCE搭載モデルはWONDER HUNTERの趣旨にぴったりのクルマだ。日産 チーフマーケティングマネージャーの村田直哉さんによると、この新型車には季節やシーンを選ばず、もっと安心・安全に、もっと遠くまで快適に出かけてもらうためのこだわりを詰め込んだという。こだわりポイントの例としては高速道路の運転をサポートする「プロパイロット2.0」や第2世代e-POWERの100%モーター駆動によるスムーズな加速、車内の静粛性などを挙げた。
面白いのが車酔い対策だ。
車酔いの原因には「揺れ」が大きく関係しており、特に三半規管が未成熟な子どもが車酔いしやすいといわれているが、日産が科学的な検証を行ったところ、新車特有の匂いも車酔いに関係していることが判明した。そこで日産は、セレナの製造段階から匂いを抑えるように作り込み、新車特有の匂いを低減した。なんとも細かな気配りだが、こうした日産の技術力が家族をロングドライブに連れ出してくれるに違いない。
安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。 この著者の記事一覧はこちら(安藤康之)