2021年3月に大規模改修工事のために閉館した横浜美術館が、リニューアルオープンを記念した展覧会「おかえり、ヨコハマ」を2025年2月8日から6月2日まで開催する。
同展は、2020年4月に就任した蔵屋美香 館長が横浜をキーワードにさまざまな人々を迎え入れたいと思い企画。同館が保持するコレクションに加え、横浜市歴史博物館、横浜開港資料館、横浜都市発展記念館、横浜市民ギャラリーといった市内の施設に収蔵されていた作品や資料などを全8章に分けて展示する。
第1章の「みなとが、ひらく前」では、「横浜の歴史は開港に始まる。それ以前は小さな漁村に過ぎなかった」という決まり文句を再考し、横浜歴史博物館に収蔵されている縄文期から広義の横浜地域に暮らしてきた人々が使用した物や遺したものを紹介する。第2章の「みなとを、ひらけ」では1859年の開港直後から始まった遊廓の歴史にフォーカス。今でも横浜で繰り返される遊廓や赤線を設ける発想を辿ることができる資料を並べる。第3章の「ひらけた、みなと」は、外国人向けのみやげものや輸出品として横浜で製造された絵画や工芸品などを揃え、異なる文化の接触面「コンタクト・ゾーン」について学びを深められる区画にする。
第4章の「こわれた、みなと」と第5章の「また、こわれたみなと」は、関東大震災や世界恐慌の打撃を受けた横浜の風景を描いた横浜出身の今村紫紅や牛田雞村といった画家の作品を展示。続く第6章の「あぶない、みなと」では横浜大空襲で大きな被害を被り、中心部の占領軍接収によって長く復興を阻まれた期間を経て、高度経済成長期までの様子を写真などを通して紹介する。
第7章は「美術館が、ひらく」と題し、21地区の開発に伴い丹下健三が設計した横浜美術館の設立過程の記録を公開。これに加え、開館後に収蔵されたポール・セザンヌ作「縞模様の服を着たセザンヌ夫人の肖像」(1883-85年)や、ピカソ作「ひじかけ椅子で眠る女」などを並べ、作品のモデルとなったオルタンス・フィケ=セザンヌやマリー=テレーズ・ワルターの人柄を見て取れる展示空間にする。最終章の「いよいよ、みなとが、ひらく」は2010年代以降の作品を展示。奈良美智の「春少女」(2012)など代表的な作品と、身体性をテーマにした映像作品やパフォーマンスをするアーティストの檜皮一彦に制作を委嘱した新作を並べる。また、子どもが作品を見やすいように工夫して展示する「子どもギャラリー(仮称)」を設ける。
◾️おかえり、ヨコハマ会期:2025年2月8日(土)〜6月2日(月)休館日:木曜日※3月20日(木・祝)は開館、3月21日(金)を休館予定開館時間:10:00〜18:00 <観覧料>※()内は有料20人以上の団体料金一般:1800(1700)円大学生:1500(1400)円高・中学生:900(800)円小学生以下無料 公式サイト