<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第5戦フィンランド大会>◇16日◇ヘルシンキ◇男子フリー
【ヘルシンキ=竹本穂乃加】ショートプログラム(SP)首位発進の鍵山優真(21=オリエンタルバイオ/中京大)がGP2連勝を飾った。前週の第4戦NHK杯に続く戴冠で、2季連続のファイナル(12月5〜8日、フランス・グルノーブル)進出を決めた。フリーは159・12点、合計263・09点と苦しんだが、逃げ切り勝ちを収めた。
「最終滑走として恥じるような演技をしてしまって、皆さんにも自分自身にも申し訳ない気持ちです」。会場インタビューで肩を落とした。冒頭の4回転フリップが1回転になり、絶対の自信を持つ4回転サルコーで着氷が乱れると、後半までジャンプのミスが散発した。「結果よりも悔しい気持ちの方が強くて、今シーズンで一番悪いフリーの出来」と振り返った。
後半のステップシークエンスでは大きな手拍子を受けた。「今回はミスがありながらも応援のおかげで最後まで諦めずに滑り切ることができた。声援が僕のフリーを助けてくださったので、本当に感謝しています」と滑り抜いたが、笑顔はなかった。
ぶれない性格。試合に挑む姿勢も、いつも変わらない。「僕にとってはどの試合もすごく大事。常に100%を出し切れるように」。10月の西日本学生選手権でも「気持ちが弱かった」と国際大会同様の反省口調。6月に出演したアイスショーでさえ「1試合目」と捉えて4公演全てで4回転フリップに挑み、競技会のように自身を追い込んだ。
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常に限界に挑む姿勢を崩さないからこそ、2季連続のファイナル進出が懸かる一戦でも、特別な心構えは必要ない。「いつも通りに」。舞台の大きさにかかわらず、矢印の向きはこの日も自分。前週の第4戦NHK杯からの連戦で、父正和コーチから「疲れているでしょう」と心配される中でも、自分の限界を探った。
出場する全試合で合計300点以上&優勝と高いハードルを設定している鍵山。その先に見据えるのは、五輪金メダルだ。26年ミラノ大会まで「今季から勝負が始まっている」と緊張感を持ち続けており、約3週間後に迫る自身2度目のファイナルへも士気は高い。自分を超えたその先に、きっと世界の頂は見えるはずだ。
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