麻雀業界の誹謗中傷、役満ボディ・岡田紗佳さんが「厳正な対処」を宣言、中傷した人に待つペナルティとは

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2024年11月17日 09:00  弁護士ドットコム

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「役満ボディ」の呼び名で知られるモデル・タレントで、麻雀プロの岡田紗佳さんがこのほど、岡田さんや他の麻雀プロに誹謗中傷を繰り返していたアカウントについて、発信者開示請求やアカウント削除依頼をしていたことを明らかにした。


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麻雀のリーグ戦「Mリーグ」に参戦中の岡田さんは「麻雀業界において、SNSの誹謗中傷は常に問題視されています。私も沢山傷つけられて、麻雀に向き合うのが怖くなった時期があります」と心境をつづる。



そんな状況に置かれた岡田さんは「実はオフシーズン中、私及びその他の麻雀プロに対して繰り返し誹謗中傷を行っていたアカウントに対して、専門家に依頼して、開示請求を行いアカウントの削除依頼をし、削除して頂きました」と述べる。



さらに岡田さんは「今後も度を超えた誹謗中傷は削除依頼に留まらず、厳正な対処をしていきます」と警鐘を鳴らしている。インターネットやSNS上の誹謗中傷は、犯罪に問われる場合もあるのだ。



ひどい誹謗中傷にはどのような「厳正な対処」が待っているのだろうか。インターネット上の誹謗中傷問題にくわしい最所義一弁護士に聞いた。



●「不快」だけでは「誹謗中傷にあたらない」ことも…線引きは?

——インターネットやSNSの誹謗中傷には、どのような法的問題がありますか。



インターネット上で悪口を書かれることは、誰だってイヤなものですが、悪口のすべてが誹謗中傷にあたるわけではありません。



インターネット上での発言も、一つの「表現行為」だからです。自分の意見を表明する自由は、誰でも憲法で保障されています。



そのため、単に不快なことを言われただけでは、誹謗中傷とはいえません。誹謗中傷にあたると言えるためには、その表現行為が、名誉毀損や侮辱に該当する必要があります。



名誉毀損に該当するためには、その表現行為によって、対象とされた人の社会的評価が低下したことが必要です。



——どのような表現であればアウトなのでしょうか



社会的評価とは、その人が社会から受けている客観的な評価のことをいいます。「普通の生活をしている一般人である」という評価も、社会的評価にあたります。



そのため、たとえば「ある人が犯罪に該当する行為をした」という事実を摘示することは、「普通の生活をしている一般人である」という客観的な評価を低下させることになるので、名誉毀損に該当します。



ただし、ある人の犯罪行為を明らかにすることには、公益目的(社会的に有用な目的)があるので、投稿内容が真実であれば、名誉毀損に該当しません。そのため、誹謗中傷が問題となるケースでは、多くの場合、投稿内容が真実かウソかということが重要となります。



もし根も葉もない噂話を信じて、インターネットに投稿したところ、それが、まったくのウソだった場合、名誉毀損に該当します。刑法上の名誉毀損罪が成立して、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処せられることになります。



また、侮辱の場合、その表現が社会通念上許容できない程度のものである場合には、刑法上の侮辱罪が成立することになります。侮辱罪は、従来、拘留または科料だけでしたが、法律改正されて、現在では、1年以下の懲役か禁錮もしくは30万円以下の罰金に処せられる場合もあります。



いかなる表現が社会通念上許容できない程度のものといえるかは、裁判官次第という側面はありますが、法務省が参考事例(「侮辱罪の事例集」)を記載していますので、これが一つの参考になると思います。



●多くの誹謗中傷投稿者が「軽い気持ち」で投稿している…気づいたときには遅い

——刑事責任だけでなく、民事責任も問われますか



刑事上の責任が問われるような場合には、同時に民事上の損害賠償責任も問われることになります。



インターネットで誹謗中傷に該当するような投稿をする場合、そのほとんどが匿名です。投稿者の責任を問うためには、投稿者を特定する必要があります。



特定のためには、裁判所に対して、発信者情報開示命令の申立を行う必要があります。発信者情報開示命令申立の手続きでは、プラットフォーム事業者に対して、発信者の電話番号とメールアドレスの開示を求めることができます。



プラットフォーム事業者が、これらの情報を保有しているかどうかは、申立ての時点では明らかではありませんが、裁判所より発信者開示命令が発令され、プラットフォーム事業者がこれらの情報を保有している場合には、開示された電話番号やメールアドレスの情報をもとに投稿者を特定することができます。



投稿者の情報が開示されると、投稿者に削除や損害賠償を求めていくことになります。



実際のところ、投稿者は、軽い気持ちで投稿していたケースがほとんどです。弁護士から内容証明郵便が届いた時点で、大事になったことを初めて理解します。



インターネットは誰でも閲覧が可能な開かれたメディアであること、インターネットには真の意味での「匿名」は存在していないということは、しっかりと認識する必要があります。




【取材協力弁護士】
最所 義一(さいしょ・よしかず)弁護士
東京大学農学部農業工学科(現生物・環境工学専攻)を卒業後、IT技術者や病院事務職(事務長)を経て、弁護士に。一般企業法務や知的財産問題のほか、インターネット関連のトラブルの解決に精力的に取り組んでいる。
事務所名:弁護士法人港国際法律事務所湘南平塚事務所
事務所URL:http://minatokokusai.jp/office/hiratsuka/



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