自分には合わない仕事に就いてしまったら、無理に続けて心身を病むより、早いうちに転職先を見つけたほうがいい。秋田県の50代男性はかつて、テレアポスタッフとして企画営業の職に就いていたが、体を壊し半年で辞めたと明かした。そこは「会社のものは全て事業主のものという発想」だったとし、働きにくさがうかがえる。
退職に至った理由はいくつかあるようだが、まず、ずさんな勤怠管理についてこう書かれている。
「タイムカードが存在しているが出勤して1時間後に打刻を月に1回。もしくは出勤簿はあるが捺印できるのは一部の従業員。当然、休日出勤しても打刻及び捺印なし。残業してもない」
残業や休日出勤した分の手当を正当にもらえていなかったようだ。タイムカードや出勤簿があっても機能していなかったら意味がない。(文:天音琴葉)
労働条件の変更書類を「その場で書くまで帰宅させない」と言われた
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その会社は社会保険料の負担も減らそうと、次のような姑息な手も使っていた。社会保険料は4〜6月に支給された給料の平均額をもとに毎年見直されるため、この期間は、残業してもなかったことにされるようだ。会社はどうしても削減したいというなら、残業自体をなくすべきだ。
ほかにも、労働条件は雇用主が一方的に変えることはできないはずだが、「労働条件の変更書類はその場で書くまで帰宅させない」と強制的に変更されたこともあったようだ。耐えかねた従業員が労働基準監督署に相談したのだろうか。調査が入ったこともあった様子。だが結局のところ、労基署の力を以ってしても改善されることはなかった。
「労基ももっと深堀りしてほしい。また、事業主からだけの質疑応答でなく、従業員にも質疑応答するべきである。調査結果で疑いなしで同情されてホッとする事業主の顔を見ると腹わらが煮えくりかえる気持ちでした。そして、自分は被害者面をしてお涙頂戴と更に始末が悪い」
「いつ辞めても構わない。退職届をすぐに受理する」と上司に言われ続け……
上司もブラックだったようだ。普段から「いつ辞めても構わない」「退職届をすぐに受理するから」と言ってきたそう。ほかにも、
「団結力の証明として、飲み会は強制参加。参加しないと減給および懲戒処分。その結果、体調不良になった」
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とこぼした男性。酒が飲めない体質の人もいるのに、立場を使って強要することはハラスメントに当たるし、飲み会を拒否したという理由での減給や懲戒処分は無効になるはずだ。だが、「事業主の考えを支持する部下もいるから厄介」と男性がこぼしたように、無茶苦茶な上司に逆らえない部下たちが、ブラックぶりを助長させていたようだ。
結局、男性は前述の通り半年で退職した。手続きの際にも一悶着あった様子。
「意を決して退職届を提出すると、『お願いだから(退職)願いにしてくれないか』『文面のここを変えてくれ』と都合の良い発言をする。また、退職の意思表示は就業規則に従ってほしいと言うが、すぐに閲覧できる場所にない環境。(中略)その後の失業保険の郵送の対応もお粗末で話にならない」
雇用保険被保険者資格喪失届がなかなか送られてこなかったのだろうか。その分、失業手当の受給が遅れるから迷惑な話だ。辞めたのは男性だけではないようで、こんなことも明かしていた。
「当初は自治体の補助金のある事業所と謳っていたが、クレーム連発でハローワークの求人応募も離職者の数が多過ぎて出禁」
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いろいろあったものの、辞められてホッとしただろう。退職して初めて気づいたこともあったようだ。
「周囲から『顔色が良くなった』等と。そんな状態になるまで勤務していたのかと自分でも気がつかなくなるくらい仕事していた」
これはいつの話かわからないが、今はどこも人手不足で、就職、転職は売り手市場が続いている。体を壊してまで働く必要はない。合わないと思ったら見切りをつけ、次の職場へ移るほうがいいだろう。
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