何らかの原因で職務にやる気をなくし、最低限しか仕事をしない状態を“静かな退職”という。根底には、頑張って働いても待遇が悪いまま、という職場の現実がありそうだ。
東京都の30代男性(年収500万円)は、ある場所で働く「国家公務員」で、現場に出たり事務仕事をしたりしているという。公務員なら勤怠管理はしっかりしているかと思いきや、
「残業代が出なかったり、規則で定められた公休がなかったり勤怠管理がいい加減だったので、出てない分は適当にやることにしました」
こう失望を語る男性は、「金を出さないなら仕事ではないので、こちらに何の責任もありません」と、もはや悟りの境地にいるようだ。(文:篠原みつき)
「怒られない程度に仕事をこなして定年を待ちます」
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埼玉県の50代女性(年収350万円)も静かな退職状態だという。金融機関の窓口で勤務しているが、中途入社で採用条件があらかじめ決まっていたそうだ。それは
「転勤がない代わりに昇格はなし。ただし希望によりコース変更は可能。2、3年勤務後に変更できる」
というものだった。コース変更とは、一般職などから総合職に変えるということだろう。数年後のキャリアアップも見据えていた女性だったが、入社後に衝撃的な事実を知った。
「いざ入社してみると、コース変更に必要な条件は500人に1人達成可能かどうかの売上額を2年連続達成後に選考試験があり、これも100人に1人しか合格できないものでした」
本当にコース変更させる気など毛頭なさそうな条件に、女性のやる気も全く失せてしまったようで
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「まともな勤務をしていては到底達成できないので、最低限の仕事しかしません。当然サボったり手は抜きませんが、他人を出し抜いたりなど頑張るつもりもありません。怒られない程度に仕事をこなして定年を待ちます」
と冷めた調子で決意を述べた。
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