ドイツのライプツィヒ大学などに所属する研究者らが2015年に発表した論文「Examining the effects of birth order on personality」は、出生順位による知能や性格の違いを調査した研究報告である。
この研究では、アメリカ、イギリス、ドイツの3カ国から合計約2万人のデータを対象に、知能指数に加え、主要な性格特性(外向性、情緒安定性、協調性、誠実性、開放性)について、出生順位による違いを詳しく分析した。
分析対象は、兄弟姉妹数が4人以下の家族に限定し、双子は除外している。これは、双子が特殊な構成であり、通常の出生順位効果が異なる可能性があるためである。また、5人以上の兄弟がいる家族については、全サンプルの11%未満であり、信頼できる分析が困難なため除外した。
分析の結果、知能指数については先行研究と同様に、出生順位が後になるほど低下する傾向を確認できた。その差は標準偏差の約10分の1程度である。また「知的である」という自己評価についても、出生順位が後になるほど低下する傾向が見られた。この傾向は、実際の知能テストの結果を考慮に入れても変わらなかった。
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しかし、それ以外の性格特性については、出生順位による有意な違いは見られなかった。また、兄弟姉妹の年齢差が1.5〜5年の場合に限定した分析でも、同様の結果となった。
Source and Image Credits: J.M. Rohrer, B. Egloff, S.C. Schmukle, Examining the effects of birth order on personality, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 112(46) 14224-14229, https://doi.org/10.1073/pnas.1506451112(2015).
※ちょっと昔のInnovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。通常は新規性の高い科学論文を解説しているが、ここでは番外編として“ちょっと昔”に発表された個性的な科学論文を取り上げる。X: @shiropen2
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