eスポーツの大会などを見ていると、ゲーミングシーンでは高音質/低遅延なヘッドフォンが主流となっている印象だ。しかし、より手軽さや汎用(はんよう)性を求めるゲーマーのために、ゲーミングイヤフォンというジャンルも少なからず存在する。
日本HPが発売している「HyperX Cloud MIX Buds 2」も、そんな最新のゲーミングイヤフォンの1つだ。
ゲーミングデバイスと聞くと、RGBのChroma発光で派手なイメージがあるが、HyperX Cloud MIX Buds 2にはそういった機能は搭載されていない。では、何がどうゲーミングなのだろうか。日本HPから実機を借りたので、紹介しよう。
なお、同社の直販価格は2万7500円で、保証期間は2年間となっている。
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●超低遅延のゲーミングイヤフォン
イヤフォン自体は、やや太めのステムが印象的な形状だ。ステム上部がタッチセンサーになっており、再生/停止や曲送り、ANCの切り替えなどの各種ジェスチャー操作を行える。専用アプリ「HyperX NGENUITY」からカスタマイズも可能だ。
イヤーチップはS/M/Lの3サイズが付属しており、標準でMが装着されている。
専用アプリのHyperX NGENUITYは、Android/iOS/Windows用が用意されている。残念ながらmacOS向けにはリリースされていないが、イヤフォン自体はMacでも利用可能だ。Macで利用中に、iPhoneにインストールしたアプリから設定を変更することもできる。
●ドングルを使用した2.4GHzワイヤレス接続に対応
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HyperX Cloud MIX Buds 2は、その名称からも分かる通り、2022年に発売された「HyperX Cloud MIX Buds」の後継モデルだ。前モデルはHyperXブランド初のゲーミングイヤフォンとして、Bluetooth接続に加え、USB Type-C接続の専用ドングルを利用した独自の2.4GHz接続に対応しており、超低遅延を実現していた。
HyperX Cloud MIX Buds 2にも、これらの特徴はしっかりと受け継がれている。接続はBluetooth 5.3の他に、付属のドングルを利用した2.4GHzワイヤレス接続に対応する。20msの超低遅延を実現しているのも見どころだ。
ドングルはUSBポートに直接挿して使用するが、ノートPCなどで隣のポートと干渉する場合に備え、延長用のアダプターも付属している。アダプターはドングルに合わせた形状にはなっているが、要するにUSB Type-Cを延長しているだけだ。
ドングルを使用する場合、面倒なBluetooth接続などの設定が必要ないのもメリットだ。USBオーディオに対応しているデバイスであれば、ドングルを挿すだけでイヤフォンが利用可能になる。
バッテリー駆動時間は約7時間で、ケースを併用すれば最長26時間となる。イヤフォンの充電時間は約1.5時間となっている。
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●マルチコネクトの活用シーンは限定的
Bluetoothとドングルでの2.4GHz接続で、別々のデバイスに接続するマルチコネクションに対応しており、PCにはドングルを挿して2.4GHzワイヤレス接続、スマートフォンとはBluetooth接続という利用が可能だ。PCでゲーム中にスマートフォンに着信があった場合、ドングルのボタンを押すとスマートフォンで通話できる。
このマルチコネクトはBluetoothのマルチポイントのように思えるが、実態はかなり異なる。ドングルを使った2.4GHz接続とBluetooth接続を併用する場合、デフォルトではBluetooth側は通話用にしか利用できない(メディア再生用の機器としては認識されない)。ドングルのボタンを長押しすることでBluetooth側でもメディア再生が可能になるが、ドングル側を利用する場合には再度長押しが必要だ。
実用上は、自宅ではPCにドングルを挿しっぱなし、外出時にはスマートフォンとBluetooth接続といった使い方になるだろう。
●アクティブノイズキャンセリングもサポート
前モデルのHyperX Cloud MIX Budsはアクティブノイズキャンセリング(ANC)には非対応だったが、HyperX Cloud MIX Buds 2ではANCが搭載された。公式な数値は公表されていないが効果は高く、カナル型のパッシブなノイズキャンセルと相まって、低音だけではなく人の話し声など中音域もかなり打ち消してくれる。ただし、装着時の圧迫感はやや強めに感じた。
ANCの効き具合は調整できず、オン/オフと外部音取り込みの切り替えのみ可能だ。
音質は、低音がやや強めで若干ドンシャリ傾向にある。アプリから5つのプロファイルを切り替えられるが、そこまで大きな差は感じなかった。また、自分でカスタマイズすることもできない。この辺りは、ゲーミング向けとして割り切っているのかもしれない。
2.4GHzワイヤレス接続を利用する場合、ドンシャリ感が抑えられてフラット気味になる印象を受けた。筆者はどちらかと言えば、2.4GHz接続の方が聞いていて疲れにくいと感じた。
なお、Bluetoothの対応コーデックはSBCとAAC、それにLC3に対応している。しかし、筆者のPixel 9 ProでLE Audio(LC3)を有効にすると、左側ユニットから音が出ないという症状が発生した。SBCとAAC接続では問題なく、端末なのか試用機の問題なのかは分からなかったが、そもそもPixel側でもLE Audioは試験機能という扱いなので、低遅延が目的なら素直にドングルを使用した方が良さそうだ。
●USBドングル経由で遅延をほぼ解消
肝心の低遅延に関してだが、PCのブラウザ経由で遅延テスト系の動画を使って確認したところ、Bluetooth接続では200ms程度の遅延があるものの、ドングルを挿して2.4GHzワイヤレス接続にすると、遅延がほぼ0になるのを確認できた。実際には20ms程度の遅延があるようだが、体感では全く遅延を感じない。
筆者はFPSや音ゲーなど、タイミングがシビアなゲームはプレイしないのだが、これらのゲームをプレイする人にとってはかなり影響が大きいのではないだろうか。
欲を言えば、ドングルの延長用アダプターで3.5mmの入力も可能にしてトランスミッターとして利用できれば、活用シーンが広がるのではないかと思った。バッテリーを搭載しなければならず難しいところだが、対応されればUSB非搭載のゲームデバイスでも利用できるようになるかもしれない。
ともあれ、ゲームでワイヤレスイヤフォンを使いたいものの、遅延が気になって踏み切れなかった人、自宅でBluetooth環境が安定せず、ワイヤレスイヤフォンの使用をあきらめていた人などは、ぜひ1度試してみてほしい。
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