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在留特別許可を出すべきなのに退去強制処分を下したのは不当だとして、フィリピン国籍の60代男性が11月18日、国を相手取り、処分の取り消しや在留特別許可を出すよう求める訴訟を東京地裁に起こした。
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原告代理人などによると、男性は1987年、20代のころに来日。エージェントに正規パスポートを預けていたが、脅かされて、別人名義のパスポートで入国したという。
その後、土木工事現場などで強制労働させられたが、1年ほどで逃げ出したという。友人宅で出会ったフィリピン人女性と2013年に同居して、間もなくして子どもが生まれた(現在は小学中学年)。
男性は2022年、市役所に相談のうえ東京入管に自首出頭して、家族3人の在留特別許可を求めたが、今年5月、妻子には在留特別許可が出たものの、自分だけ退去強制令書発付を受けていた(強制送還は11月21日付)。
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この日の提訴後、原告の男性と妻子、代理人らが東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。男性は次のようにうったえた。
「日本に来るときは、偽装パスポートを使いました。本当に反省しています。フィリピンには、頼れる家族はいません。わたしの家族は、ここにいる妻と子どもだけです。父として子どもの成長の責任があります。家族3人の生活を認めてください」
原告代理人をつとめる駒井知会弁護士によると、男性は前科前歴はなく日本で平和に暮らし、周りの市民とも非常にいい関係を築いてきた。子どもが通う小学校の校長・教師からも嘆願書が出ているという。
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「在留特別許可を与えるべきときに与えないのは違法です。家族が一緒にいる権利(家族統合権)や、子どもが社会の中で大切にされるという国際人権法が求めている人権を蹂躙してまで、退去強制令書を出すという権限は、法務大臣も入管も持っていないと考えます。
もちろん、非正規で入国してきたことは褒められたことではなく、彼も反省しています。20代の彼が犯したとして、60代の彼に死ぬまでそれをもっていけというのは、あまりにもバランスがおかしいことだと思います」(駒井弁護士)
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