Xに投稿された、北海道の有名お菓子の動画が話題になりました。画面には、石屋製菓「白い恋人」、六花亭「マルセイバターサンド」、HORI「とうきびチョコ」のパッケージと中身がならんでいます。どれも美味しそう! ところが….。
最初に「白い恋人」を持ち上げました。裏返してみると、パッケージはのっぺりした薄茶!? さらにラング・ド・シャとぶつけると、崩れることなく硬い音がします。ほかのお菓子も同様で、「残念ながら、ぜんぶ木彫りです」。
「食べられないなんて、ほんと残念だわ」
「木彫り技術も パッケージなどの塗りの技術も やっぱり凄いです‼️ アップになるとひっそり木目が見えたりしますが、ちょっと離れりゃまったく(木目が)見えないので、ウッカリ騙されて手に取りそうです」
「すげぇ!全部木彫り。なんて!」
「絶対、気づかない自信ある。」
「バターサンドの口になってしまいました」
「パッケージの方もかーー!!騙された〜」
などと驚くコメントが寄せられて、1.2万の「いいね」がついています。木彫りのお菓子を作ったのは、木彫りアーティストの「キボリノコンノ」(@kibori_no_konno)さんです。コンノさんは、3年前に木彫りのコーヒー豆を作ってから、透明感のある氷やガラス、お菓子のビニール袋など、木彫りとは思えないような驚きの作品を発表して、何度も話題になっています。コンノさんにお話を聞きました。
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──こちらのお菓子シリーズはいつ頃に作られたのですか?
2022年8月に作った作品です。地元の百貨店やスーパーなどで北海道物産展が開催されるといつも買うくらい北海道のお菓子が大好きで、以前「木彫りの北海道物産展」というテーマで投稿したくて作りました。
──再現度が高くて驚きました。難しかった点は?
お菓子よりも、パッケージの柄を描くのが大変でした。特にマルセイバターサンドパッケージは柄が細かく、毛を数本だけ束ねたようなとても細い筆で、手を震わせながら慎重に描いていました。
──ふんわり包まれたシルバーの包み紙の表現は、たしかに難しそうです。最初のコーヒー豆の作品からどんどん進化している気がします。
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木彫りを始めた当初は、「木で作れそうなもの」としてコーヒー豆やナッツなどをあまり着色もせずに作っていましたが、だんだん見てくれる方を驚かせたいという気持ちで「木では作れなさそうなもの」を作るようになり、画材も絵の具や色鉛筆、ときにはメイク用品など様々な道具で着色するようになり、よりリアルで、誰も見たことのないようなアイデアの作品が作れるようになってきました。
──木で作ってあるとは思いもつかない作品ばかりですが、まだ作ってみたいものはありますか?
作りたいものリストは100個以上アイデアが溜まっていますが、いつも実際に作るものはリストから選ぶのではなく、思いついた瞬間に「これは絶対に面白い!!」と体が勝手に動いて作り始めているので、次に作るものは自分でもわかっていませんが、また誰も見たことのないような作品を思いついて作ると思うので楽しみにしていてください。
──絶対に面白い!というのが作品から伝わっている気がします。
逆に、何か作らなきゃなぁと無理矢理作ったとものは、みなさんにもあまり響いていないように感じるので、作品は自分が勝手に動き出してしまうくらいワクワクしたときにだけ作るようにしています。
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──本物と木彫りを混ぜておいて、本物を当てるクイズなども、本当にわからなくておもしろいですね。
木彫りクイズの作品は、自分の作品を見てほしいというよりは、クイズを見てくれた方がご家族やご友人などにクイズを出題したりして、木彫り作品をコミュニケーションツールにして欲しいという思いで作っています。
──なるほど。作品を鑑賞するだけではないのですね。
木彫りを投稿し始めた当初は、作品を見てほしいという思いや、見てくれた方とのコミュニケーションを楽しみたいという思いで創作活動をしていました。そこからさらにSNSや、展覧会、絵本など活動を広げていく中で、自分の作品を見てくれた方が、さらにご家族やご友人、同僚、恋人らと作品の話題でコミュニケーションを楽しんでくれていることを知り、自分の作品は鑑賞するための「美術作品」ではなく、人と人とを繋げる「コミュニケーションツール」にしていきたいと思うようになりました。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)