「この縄が冬の巣材に最適だという噂が、
どうやらリスの森で広まっているらしい
みんなここから持っていくんです…」
吊り橋の太い縄をかじり、引きちぎろうとするニホンリスの姿を紹介する神戸市立王子動物園の投稿がXで注目を集めました。「冬の巣材にぴったりだとウワサが広がって…」とありますが、頑張ったわりに最後にくわえた縄の量はごくわずか。
「それっぽっちで良いの?」「どんな巣が出来ているんだろう」「温かそう」とほほえましく受け止める人がいた一方、「橋は落ちないの?」という心配の声も。確かに、いろいろ気になります。投稿した飼育担当の森田瑠奈さんに聞きました。
同園内の「リスと小鳥の森」は、現在はニホンリスの繁殖施設として活用し、30頭ほどを飼育。9月から翌2月の日曜午後2時から3時に一般公開されています。
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—吊り橋は落ちない?
「大丈夫です!橋はあくまでも『吊り橋』風で、土台からしっかり作られています。縄は飾り…というか、手すりです。この縄は綿で、ほつれているところをリスたちがかじって、少しずつ持ち帰っています」
—巣箱は縄だらけ?
「中ではとても細かい繊維状になっているので、持ち帰ってから割いているようです。最初これがあるのに気づいた時は、『抜けた冬毛かな』と思ったくらいです」
—巣材として用意しているものは?
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「シュロを木に吊るしたりしています。スギの丸太をたくさん置いてあるのも巣材のためで、樹皮をはいで持ち帰っています。施設内の落ち葉や木の枝も人の通路以外はそのままにして、出来るだけ自然の状態にしています」
—今の時期、巣箱の中はどんな状態?
「巣材がホワホワ、ミチミチに詰まっていて、 今は寝る場所として使われています。食べ物だけを入れている巣箱もあって、覗いたらドングリだけ、 というのもあるんですよ」
巣箱は現在約70個。いろいろな大きさ、 形の巣箱の使われ方を調べたところ、「人気物件」の傾向がはっきり分かったとのこと。
「小さい巣箱が人気です。 何頭も一緒にいることもあって、ぎゅうぎゅうな方が落ち着くのと、 密度が高くなって中が温かいのだと思います。人気のない巣箱はほんとに空っぽでです」
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エサは、ヒマワリの種やリンゴ、ニンジンやサツマイモ、ドングリやクルミ。動物性タンパク質をとるために煮干しやミルワームも与えています。
一般公開では、エサを食べる姿や、すばしこく駆け回る様子を間近で観察することができますが、「リスは人が出す音や、人の動きにとても敏感です」と森田さん。
「ゆっくり歩きながら見ていただいて、お話も小さな声でしていただけると、リスたちも安心して自然な姿を見せてくれると思います」と話してくれました。
(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)