広島地検の男性検事(当時29歳)が自殺したのは職場での長時間労働や上司からのパワーハラスメントが原因だったとして、男性の家族が国に計約1億7079万円の損害賠償を求めた裁判が11月19日、東京地裁で始まった。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
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訴状によると、男性検事は広島地検の公判部に勤務していた2019年12月10日、広島市内の自宅で自ら命を絶った。
亡くなる直前の6カ月間の超過勤務時間は、▽6月10日〜7月9日が99時間56分(うち深夜労働9時間27分)▽7月10日〜8月9日が13時間59分▽8月10日〜9月9日が112時間2分(同13時間20分)▽9月10日〜10月9日が108時間8分(同7時間25分)▽10月10日〜11月9日が77時間17分(同2時間21分)▽11月10日〜12月9日が75時間6分(同2時間1分)ーーだった。
7月10〜26日には一般検事研修があり労働時間に関する記録がなく、7月27日〜8月9日は記録上、休暇を取得していた。
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2018年12月〜2019年11月の超過勤務は合計1195時間で、月平均99.6時間に及んだという。
また、2019年12月2日、担当していた否認事件2件の論告書面について、男性検事が広島地検のナンバー2にあたる次席検事の決裁を初めて得ようとした際、大声で「お前がそもそもこの事件を理解してなくて証拠構造整理できてねーじゃねーか。お前は今までどういうつもりで公判検事やってきたんだ」「修習生以下だ」などと大声で叱責されたとしている。
こうした長時間労働や上司のパワハラを広島地検は認識し得たにもかかわらず、自死するまで組織的なフォローをしなかったなどとして、遺族は男性検事の心身の健康を損なうことがないように注意する義務や亡くなった原因を誠実に調査すべき義務を怠ったと主張している。
この問題を巡って、法務省は2023年9月22日付で、自死は過重労働が原因だったとして公務災害と認定している。
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原告の代理人によると、東京地裁であった第1回期日で、国側は請求に対する答弁を留保したという。
裁判後に司法記者クラブで会見を開いた原告代理人の橋詰悠佑弁護士は、男性検事以外にも検事や検察事務官の自死が複数起きていることに触れ、「検察庁で適切な対応がなされているのか非常に疑問がある」と述べた。
そして「健全な職場環境を実現し、速やかな原因究明ができる体制を構築することで同様の事態が起こらないようにしてほしい。同様の事態が起きた場合は十分な原因究明と説明がなされる体制の整備を求める」と話した。
男性検事の父も会見に同席し、「子どもを失った悲しみは今も癒えない。今回の訴訟を踏まえて、子どもが希望を持って入った職場により良い組織になってもらいたい」と訴えた。
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