11月20日、浦和競馬場で長距離重賞・浦和記念(JpnII、2000m)が行われる。過去10回中7回で3連単万馬券が出ており、うち4回はJRA馬3頭で決まりながらも高配当という一戦。
その要因の一つとなっているのが、南関東随一の小回りコースだろう。1周1200m、ゴールまでの直線は220mで、レースは向正面からスタートして1周半、コーナー6回のコースとなっている。
「1-2コーナーのカーブが急だな、という印象が強いです」
そう話すのは安田隆行元調教師。2018年テレ玉杯オーバルスプリントをオウケンビリーヴで2着、翌年のJBCレディスクラシックをファッショニスタで3着など調教師時代には浦和競馬場に管理馬を送り込んできた。
「位置取りによってどういう形でコーナーをクリアするかが鍵になると思います。4コーナーではいいポジションにいないと、直線で強引に差すのはちょっと厳しいと思います。よっぽどペースが速くなれば例外かもしれませんけど、基本的には先行馬有利の競馬場だと思います」
たしかに、過去10回のデータを調べると、4コーナーで3番手以内の馬は[9-10-5-6]で勝率30.0%、連対率63.3%、3着内率80.0%を誇る。
そこで、安田氏が注目馬に挙げるのがアウトレンジ。
「前に行ける馬で浦和コースではピッタリ。逃げなくても好位でも十分対応できると思います。前走のみやこSは先行争いが激しくて速いペースで2番手につけながらも、よく2着に粘りました。時計も速かったです」
2番手評価に挙げるのは昨年覇者のディクテオン。昨年は最後方から2周目向正面でマクって勝ったように、中団-後方から運ぶタイプのため展開の影響を受けやすいが、安田氏は今回、ある点も気になるという。
「横山和生騎手が乗るんですね。彼はアウトレンジの前走にも騎乗していますから、彼自身が色気を感じてディクテオンを選んだのか、厩舎や馬主サイドの意向なのか、あるいはアウトレンジは短期免許で来日中のC.デムーロ騎手騎乗なので調教師が気を回した可能性もあります。実際のところは分からないですけど、色々と考えますね」
我々ファンもジョッキーのお手馬が重なった時にどんな経緯があったのか思いを巡らせることがあるが、元調教師でもそれは同じのよう。
「たとえばルメールさんはたくさんいい馬に乗っていて、あの人が選ぶんだからこの馬が一番強いんだろうな、とか思ってしまいます」と笑う。
では調教師時代はジョッキーの采配はどうだったのかと問うと、「勝負をかけていて『今回、すごく状態がいいから乗ってください』という時もあれば、『どちらも有力馬でちょっと分からないな』という時はジョッキーに選んでもらう場合もありました」と、状況次第のようだ。実際のやり取りがどうであれ、出馬表を眺めてあれこれと想像を膨らませる時が一番楽しいのかもしれない。
枠順が出て安田氏が頭を抱えたのはダイシンピスケス。3番手評価に挙げ、「内枠に入れば、強引にでも逃げると思います。ハナに行けばしぶといタイプ。ポッと行って、逃げ切ることも無きにしも非ずかな」と話していたのだが、引いたのは7枠9番。さて、外枠からどんな競馬をするか。
同じく逃げるとしぶといのがメイショウフンジン。こちらは内の2枠2番に入った。
「テンがそんなに速い馬じゃないから、外から被せられたら苦しくなるかもしれませんね」
たしかに、2走前のマーキュリーCでは最内枠から行ききれず8着に沈んだ。
「そう、あの時も行けなくて囲まれてしまってダメでしたよね。どちらかと言うと、外枠からどんどん押し上げて逃げる形がいい馬だと思います」
そうなると、枠順からはある程度、ポジション争いが見えてくる気がする。あとは気になる馬として4番手に川崎記念を制した地方馬のライトウォーリアを挙げた。
注目の浦和記念は11月20日、浦和11レース。17時45分発走予定だ。
浦和記念当日は入場無料でイベントも盛りだくさん。競馬場が位置する埼玉県の畜産物をはじめ、様々な畜産グルメが大集合するほか、浦和記念トークショーでは元中日ドラゴンズの平田良介さんをお迎えし、浦和記念を中心に予想を披露。併せて東京中日スポーツプレゼント抽選会も行われる。詳しくは浦和競馬公式HPをご覧ください。