製品評価技術基盤機構(NITE)が、実験など科学の面白さを伝える動画を公開している人気ユーチューバーと連携し、動画制作を始めた。若年層に身近な製品の危険性を伝えるのが狙いで、担当者は「発信力を借りたい。動画の撮り方や編集も勉強になる」と話している。
ユーチューバーは、登録者数が100万人を超えるユーチューブチャンネル「GENKI LABO(ゲンキラボ)」を運営する市岡元気さん。これまで、金庫を氷点下196度で凍らせて開けたり、レーザー光線でステーキを焼いたりする動画を公開してきた。実験教室を開催するほか、テレビにも出演している。
NITEによると、リチウムイオン電池がごみ収集車内で発火する事故が続いたため、今年に入り市岡さんから注意喚起の提案があった。そこでNITEの施設でリチウムイオン電池の爆発実験をした動画を制作し、ゲンキラボが3月に公開すると、たちまち10万回以上再生された。その発信力に期待し、今度はNITEから市岡さんに連携した動画制作を申し入れたという。
NITEには、家電も燃やせる特殊な施設などがあり、大掛かりな実験も可能。NITEとゲンキラボがそれぞれ同じ実験を撮影、編集し、互いに出演もしている。7月以降、車内に放置されたモバイルバッテリーからの発火や、ポータブル電源からの出火、電子レンジの事故に関する動画などを次々に公開した。
NITEのチャンネル登録者数は約4万人で、エアコンが洗浄中に発火する動画は400万回再生されたものの4年かかった。担当者は「ゲンキラボは小中学生にも人気のチャンネルなので、若い世代にも身近な製品事故を知ってほしい」と話している。