沖縄県の航空自衛隊那覇基地で、ミサイル攻撃を受けた事態を想定して、隊員を緊急避難させる「退避壕」の建設が始まっていたことがJNNの取材でわかりました。
沖縄の玄関口として観光客など年間1900万人あまりが利用する那覇空港。実はもう一つの顔があります。
隣接するのは航空自衛隊・那覇基地です。那覇空港は自衛隊の基地などに囲まれています。ここでは民間機と自衛隊機が同じ滑走路を使用しています。
けたたましいサイレンが鳴り、自衛官が戦闘機に乗り込みます。那覇基地に所属している戦闘機は、領空を侵す恐れのある航空機に「スクランブル発進」をして対応しています。昨年度のスクランブル発進は401回にも上り、南西諸島の防衛にとって重要な拠点とされています。
この那覇基地で新たな構造物が建てられていたことがわかりました。
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先月、JNNのカメラが捉えたコンクリート製の箱形の建物。これはミサイルが滑走路などに着弾した際に飛び散る破片などから隊員を一時的に守る「退避壕」と呼ばれるものです。
防衛省関係者への取材で、この退避壕がすでに那覇基地の2か所に建設されていたことがわかりました。
逃げ込んだ隊員が身をかがめたり、座ったりして耐えしのぐことが想定されていて、戦闘を継続する能力=「継戦能力」を維持することが目的です。
今、なぜこうした退避壕が必要なのでしょうか。
これはおととし、ロシアによる侵攻が始まった直後に撮影された巡航ミサイルの映像です。ミサイルが着弾したのは軍と民間が共用していた飛行場。
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防衛省関係者によりますと、戦争が起きると戦闘機などが離着陸できないようにするため、「まず滑走路などが標的になる可能性がある」といいます。
退避壕の建設は台湾有事による「不測の事態」を想定したものですが、ロシアによるウクライナの飛行場への攻撃も背景にあるということです。
航空自衛隊のトップは…
内倉浩昭 航空幕僚長
「那覇基地以外の空自の各基地でも(退避壕の)整備を計画している。個々の基地については、現時点では答えを差し控える。『他にもある』ということだけ申し述べる」
一方、危機管理の専門家は住民への説明がないまま、基地の強化が進んでいくことを懸念しています。
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日本大学 危機管理学部 中林啓修 准教授
「沖縄の人はすごくこういった問題をリアルに受け止めている。『(政府が)説明してくれていない』という気持ちを持つ人がいてもおかしくない」
防衛省は今後、作業を本格化させ、このほか、およそ10か所に退避壕を建設する方針です。