「スギ薬局」調剤過誤訴訟、74歳女性遺族らと和解成立…満額4200万支払いとHD会長謝罪

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2024年11月22日 17:00  弁護士ドットコム

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東京都杉並区の田村マキさん(当時74)が亡くなったのは調剤過誤が原因だとして、ドラッグストアを展開するスギ薬局(本社:愛知県大府市)と従業員の薬剤師ら3人に対して、遺族が損害賠償を求めた裁判は、11月22日に訴訟上の和解成立によって終結した。


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スギ薬局側から裁判上の和解として満額の約4200万円を支払うだけでなく、裁判外でもホールディングスの榊原栄一代表取締役会⾧が遺族に謝罪することが約束された。



遺族側によれば「調剤過誤により田村さんを意識障害に至らしめ、遺族と話をすることもできずに亡くなったことについて深く謝罪する」とする和解条項が盛り込まれた。



また、提訴後に第三者機関による調査が始まっているという。



田村さんの長男と長女は会見で「スギ薬局の代表から謝罪を受けたい。改善策を提示していただきたい」と語った。



薬剤師らに対する刑事告訴は取り下げないという。



●錠剤が多く入っていた

田村さんは2021年10月18日、スギ薬局の都内店舗で調剤された薬を服用して意識不明になり、半年後の22年5月2日に亡くなった。



田村さんの薬の包みには、本来よりも多い錠剤が入っていたことがわかった。お薬手帳に記載のない糖尿病薬が入っていた。



スギ薬局側は誤調剤の事実を認めたが、死亡との因果関係については認めず、遺族は今年8月28日に提訴した。



和解成立を受けた会見で、自身も薬剤師資格を持つという長女は、今回の事故を「薬剤師の個人のミスではあるものの、会社の責任だと思う」「会社として起こしたミスであるという認識がなかったと思う」などと指摘した。



「薬剤師が不足する中で、調剤薬局が増えている、きちんとした対応ができない。今後は業界全体の問題として受け止めていただきたい」(長女)



●遺族側代理人「メディア報道も寄与した」

遺族側代理人の柳原由衣弁護士によれば、10月末になって薬局側代理人から満額での和解を持ちかけられたという。





こうした態度の変化には、提訴時のメディア報道も影響したとして、「特に医療業界の専門雑誌に取り上げてもらった」ことが大きいと感謝した。



ホールディングスの公式サイトには同日、榊原会⾧の名前で 「和解成立のお知らせ」が公表された。



以下、全文。



〈弊社子会社のスギ薬局店舗において 2021年10月に発生した調剤過誤事案(以下「本件」 といいます。)に関しまして、亡くなられた患者様のご冥福を心よりお祈り申し上げるとと もに、患者様のご家族様には、深くお詫び申し上げます。 この度、本件に関する民事訴訟の第1回口頭弁論期日が開かれ、和解が成立いたしました。 弊社といたしましては、今後も誠実に対応してまいります。 患者様のご家族様に重ねて心よりお詫び申し上げます。 〉



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