レッグウェアメーカー大手の岡本(大阪市)が2015年から展開する靴下「まるでこたつソックス」シリーズが、ロングセラーとなっている。
【画像】「まるでこたつソックス」はどんな靴下? リニューアル前後で激変したパッケージ、巾着入りの「プレゼント仕様」、4950円の「プレミアム版」もこちらから(計8枚)
まるでこたつソックスはその名の通り、「まるでこたつに入っているかのよう」な温かさをうたう室内向け靴下だ。機能性を強調したシリーズ「靴下サプリ」の一部門として展開しており、希望小売価格は1足1980円から。レッグウォーマーや足首ウォーマーなどの派生商品も販売している。
SNSでも「冷え性の救世主」といった声が上がるなど、保温性で評価されている同商品だが、もう一つ気になる特徴が、そのパッケージデザインだ。
靴下といえば、紙の帯だけが巻かれており、店頭で肌ざわりを直接確かめて選べる……そんな商品が多いのではないだろうか。ところがまるでこたつソックスのパッケージは、サプリメントのようなチャック付きの袋に、商品の写真がプリントされているというもの。
|
|
いったいどのような狙いから、このようなデザインで売り出しているのか。「靴下サプリ」ブランドマネージャーの青柳一輝氏に背景を聞いた。
●名称変更でヒット
まるでこたつソックスはもともと、2013年から「三陰交をあたためるソックス」という名称で販売していた。
東洋医学において「冷え改善のツボ」とされる、くるぶしから指4本分上の足つぼ「三陰交」を温める設計を採用。部位ごとに編み方を変える工夫を施しており、三陰交がある足首部分には発熱素材を、その他の部分には保温素材を取り入れた。厚みがあってやわらかく、締め付けの少ない着用感も特徴だという。
当初はシニア層をターゲットに発売したものの、三陰交の認知度がそもそも低かったことから、売り上げは伸び悩んだ。
|
|
そこで岡本は、冷え性に悩む女性をターゲットとして、2015年に名前とパッケージを刷新。中身はそのままに「まるでこたつソックス」として売り出したところ、20〜30代の女性を中心にSNSで高評価が広がり、プレゼントにも選ばれる人気商品となったのだ。
●靴下というより「あったかグッズ」
岡本の商品は、もともと衣料品ストアや総合スーパーが主な販路だった。しかし、まるでこたつソックスは当初、主にバラエティーショップやECサイトで販売を開始し、順次ドラッグストアなどに拡大していった。1934年創業の老舗メーカーである同社にとって、これは新たな取り組みだったという。
青柳氏は「靴下には『3足で1000円』のようなイメージがあるので、まるでこたつソックスは高価格帯といえます。そこで、バラエティーショップで展開することで『靴下』というより『あったかグッズ』として訴求したいと考えました」と説明する。
「バラエティーショップの購買層は20〜30代です。SNSで発信してくれるこの層に最初に届いたことが、ブランドの成長につながったと考えています」(青柳氏)
|
|
また、パッケージを袋入りとしたこともこの時、プラスに働いたようだ。「2015年当時の靴下業界では『靴下は直接手でさわれないと売れない』のが定説で、カードをつけたり帯を巻く販売方法が一般的でした。ですが袋に入れたことで、より『あったかグッズ』として見ていただけた。今では同業他社さんにも『袋入り』は広がっていますね」(青柳氏)
●「おうち需要」も追い風に
累計販売足数は、2015〜2020年で70万足を突破(出荷ベース)。2020年以降も新型コロナウイルスの感染拡大を受け、いわゆる「おうち時間」をぜいたくに過ごしたいというニーズが生まれたことも追い風となり、売上高は右肩上がりに伸び続けた。
好調を受け、2021年の冬からはテレビCMの放映を開始。販路も衣料品ストアや総合スーパーに広げたほか、翌2022年にはコンビニにも進出した。
現在は通常の靴下だけでなく、メンズ向けや「プレミアム仕様」にもラインアップを広げており、限定カラーも毎年発売している。2024年の冬からは、睡眠用に開発したラインアップ「おやすみスイッチ」の全国展開も開始している。
他メーカーもさまざまなあったかグッズに力を入れるこの冬、まるでこたつソックスはさらなる成長を遂げられるか。
|
|
|
|
Copyright(C) 2024 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。