方言に憧れる。でも関西弁でたたみかけられると「うっ」となるのは、東京人。仕事も恋愛も、笑わせて「なんぼ?」だと思っている。だが、「おもしろいこと言って?」と聞かれることにプレッシャーを感じるのは、大阪人。
日本の面積は狭いものの、47都道府県それぞれに「独自性」がある。「えっ、〇〇県では、そんな文化があるの?」「〇〇県って、変わった習慣があるなあ」といった話で、盛り上がったことがある人も多いはずだ。
さて、話はチョコザップに移る。RIZAPグループが運営するコンビニジムは2年ほどで47都道府県に進出し、会員は130万人を突破。利用者は体組成計、ヘルスウォッチ、アプリなどを使って自身のカラダの状態を管理しているわけだが、その利用データを都道府県別に見たら、なにか面白いことが浮かんでくるかもしれない。担当者がふとそんなことを思いつき、膨大なデータを分析したところ、意外な県民性が浮かんできたようだ。
●「筋トレが大好き」な人たち
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“チョコザップ版 県民ショー”で気になったのは「筋トレ大好き ランキング」である。筋トレマシーンの利用率を見ると、5位「大阪」、4位「埼玉」、3位「神奈川」、2位「東京」という結果に。上位に都市部が並んでいるのは、なんとなくイメージ通りである。筋トレ愛好家といえば、自分の限界に挑戦することが好きで、自己ベストを更新することに喜びを感じるようなタイプが多いように思える。
いや、これは個人的な見解なので、間違っているかもしれない。ランキングの結果について、県民博士の木原誠太郎さんはどのように見ているのか。筋トレマシンをよく利用している県民に共通していることは「『自己成長欲求』と『挑戦心』が強いこと。性格診断では『自分の意見をしっかり持っている』『自立心が強く、効率を重視』などの特性が見られる」という。
3位にランクインした「神奈川」の特徴として、「都会的なセンスと自然への愛着を併せ持ち、アウトドアスポーツも盛んである。筋トレを取り入れることで、より充実したライフスタイルを追求しているようだ」。2位の「東京」については「自立心が強く、効率を重視している。新しいことに敏感で、常に最先端を追求する性格。短時間で効率的に成果を出すことを求める都民にとって、筋トレは最適な方法のようだ」と解説している。
●「和歌山 1位」の謎
では、1位はどこか。2〜5位に入っていない「千葉」または「兵庫」「京都」かと思いきや、「和歌山」である。この結果について、チョコザップの担当者は「正直に言って、よく分からなくて。漁業や農業をしている人が多くて、筋力を鍛えている人が多いかもしれません」と言っていたが、日本は海に囲まれていて、山も多い国である。自然が豊かな環境はたくさんあるのに、なぜ和歌山が1位だったのか。
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県民博士の見解は、次の通りである。「自然豊かな環境で育ち、体を動かすことが生活の一部となっていることから、自らの限界に挑戦し、達成感を味わうことを重視する県民性が影響しているのではないか」と。
う〜ん、どうもスッキリしない。謎が深まるばかりなので、和歌山で生まれ育った同僚のHくんに聞いてみた。「僕は筋トレをしないので、よく分からないですねえ。すみません、全くイメージがわかないです」とのこと。
もはやここまでか……と思っていたところ、Hくんが“貴重”な情報を教えてくれた。それは「わかやまきんに君」である。お笑い芸人の「なかやまきんに君」ではない。YouTubeで、和歌山市の職員が自身の筋肉を見せながら、和歌山のいいところを紹介しているのだ。
例えば、ある職員は「大胸筋を使って、和歌山城を開門するよ」と言って、実際に扉を開ける。このほかにも、さまざまな筋肉を使って和歌山市をPRしているのだ。
もちろん、この動画を見て「和歌山の人は筋トレが好きなのね。腹筋オチ……いや、腹オチした」わけではない。ただ、他県の人には知られていない「筋肉愛」が現地で広がっているのかもしれない。
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●美容大好き男子の特徴
次に気になったのは「美容大好き男子 ランキング」である。チョコザップに設置しているエステ、脱毛、ネイルなどを予約したことがある男性を調べたところ、どのような結果が出たのか。1位は「沖縄」である。2位の「青森」と3ポイントほどの差があるので、美容意識が高い男性が多いことがうかがえた。
このランキングについて、チョコザップの担当者は「沖縄は南西端に位置するので、紫外線による肌ダメージを気にする男性が多いのかもしれません」と分析。しかし、2位の青森は沖縄から遠く離れているので「地理的な問題ではなく、純粋な県民性があらわれているのかも」と推測している。
県民博士のコメントを紹介すると「(沖縄県民は)南国の強い日差しの下で生活しており、肌ケアへの関心が高いようだ。リゾート地として観光客が多く、見た目を重視する文化が根付いていることから、美容サービスを積極的に利用しているのではないか」という。
沖縄で生まれ育った同僚のUくんに聞いたところ、この結果に「うんうん」と深く納得していた。「周囲の知人や友人も美容を意識している男性が多いですね。毛深いことをコンプレックスに感じていて、ヒゲ脱毛をしている人も多かったですし。県外の人と接する機会が多い人ほど、美容意識が高いイメージがあります」(Uくん)と語っていた。
ちなみに、3位以下は「鳥取」「島根」「石川」「福井」「山形」と続く。地方の県名がズラリと並んでいるが、都市部はどうなのか。「京都」45位、「東京」43位、「大阪」42位、「神奈川」38位という結果に。
美容男子は「都市<<<地方」の傾向がうかがえたわけだが、その背景に何があるのか。チョコザップによると「『男性の脱毛サービスに興味はあったが、周辺になかったから』『費用が高そうだから』などの理由で、脱毛サロンに行っていなかった男性が利用しているのかも」と見ている。
つまり、都会の男性はすでに脱毛サロンなどに通っていて、チョコザップでは使っていない。こうした仮説が考えられる。
●コスパ意識が高いのは、やっぱり関西勢
最後に紹介するのは「コスパ意識が高い ランキング」である。キャンペーンやクーポンなど、あの手・この手で特典を駆使しているのは、どこで暮らしている人が多いのか。「ケチなイメージが強い『大阪』が断トツでしょ」と思われたかもしれないが、3位である。
関西は全体的に上位にランクインしていて、10位「滋賀」、4位「奈良」、2位「兵庫」と続いた。では、1位はどこか。「島根」である。「どういうこと? 『和歌山=筋トレ』と同じように、よく分からんオチはやめてね」などと感じられたかもしれないので、県民博士の言葉を紹介しよう。
島根県民は「保守的で穏やか。伝統や歴史を重んじ、地域への愛着が強い性格。生活コストを抑えつつ、質の高い生活を求める姿勢が根付いている。地元のコミュニティーを大切にし、必要なものに絞った賢い消費を行う傾向がある」そうだ。
以上、チョコザップ版 県民ショーはいかがだっただろうか。今回は筋トレ、美容、コスパ意識を紹介したわけだが、都道府県ごとに「違い」があって、それぞれにあったサービスを展開すれば、より多くの人々に響くビジネスが実現するかもしれない。
個人的に、次に見てみたいのは「市町村民ショー」である。しばしば「県の中心はどっち?」という議論が白熱する「福岡市VS.北九州市」に、どんな違いがあるのか。さらにエリアを絞って、永遠のライバル「浦和VS.大宮」あたりも気になるところ。データを公表すると、浦和と大宮の「筋トレ」利用率が高まりそうである(笑ではなく怖)。
(土肥義則)
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