レッグウェアメーカー大手の岡本(大阪市)がこの冬から全国販売している靴下「おやすみスイッチ」が好調だ。2015年に発売し、ロングセラーとなっている「まるでこたつソックス」シリーズのラインアップとして展開している。
【画像】1足3500円、それでも人気!「つま先だけ出ている」夜用靴下、いったいどんなデザインになった?色違いバージョンも展開(計6枚)
おやすみスイッチは「入眠時の冷え」に特化した商品。希望小売価格は3500円と高価格帯ながら、2年間にわたるテストマーケティングにおいても高い評価を得たという。
富士経済研究所の調査によれば、睡眠の質向上を掲げる商品・サービスの市場「睡眠市場」は伸長を続けており、2024年には前年比8.7%増の1904億円が見込まれている。こうした中、岡本社はどのような狙いからおやすみスイッチを投入したのか。同社の主力ブランド「靴下サプリ」ブランドマネージャーの青柳一輝氏に、開発の背景を聞いた。
●なぜ「つま先だけ出る」靴下に?
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「消費者インタビューの結果、足が冷えて眠れないだけでなく、仕事や家事、育児によって『翌朝早く起きなければいけないのに』という心理的な負担を持つ女性が多いことが分かりました。『寝不足のせいで、会社でもパフォーマンスが発揮できない』といった悩みを解決し、QOL改善につなげられたらと考えています」(青柳氏)
300足以上のサンプルを作り、試着テストを繰り返したというおやすみスイッチ。特徴的なのが、「つま先が少しだけ出る」という仕様だ。つま先が覆われた通常の靴下を着用すると、快適な眠りに必要といわれる深部体温をうまく下げることができず、蒸れも発生してしまう。しかし、足先を出すと当然ながら足は冷えてしまう……開発にあたっては、丁度よいバランスを見つけるために試行錯誤を繰り返したという。
「開発当初はかかとだけ覆った作りを考えていましたが、専門家に聞き取り調査を行ったところ、体温調節をつかさどる足の裏の血管『AVA血管』を温めることが重要というアドバイスを受けました」(青柳氏)。これを受け、足の裏を発熱素材でしっかりと覆いつつ、「つま先だけ」を出す仕様を採用した。
●「もう1つの柱」となるか
全国展開にあたっては、2022年からの2年間にわたり、静岡エリアでテストマーケティングを実施。商品の満足度や購買ニーズを検証した。希望小売価格は3500円と安くはないが、「朝までぐっすり眠れるようになった」「すっきり起きられた」「寝るのが楽しみになる」といった声が集まるなど、好感触を得たという。
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「想定以上の反響がありました。価格に見合うだけの商品力を感じていただくことができたと認識しています」(青柳氏)
テストマーケティングでは、意外な成果もあった。同社では当初、おやすみスイッチを主に「まるでこたつ」シリーズのファンに向けて訴求しようと考えていたという。
しかし、実際の取り扱い店舗では、アイマスクなどの「睡眠関連商品」と同一の売り場でも幅広く展開されることに。「『睡眠グッズが欲しい』という層に新たにアプローチできたことで、新規顧客の獲得につながりました」と青柳氏は話す。
今冬から全国展開しているテレビCMでも、シリーズ名の「まるでこたつ」ではなく「おやすみスイッチ」の名前を前面に出す。「弊社としてもラインアップの1つにとどまらず、まるでこたつに次ぐブランドとして訴求していきたいと考えています」(青柳氏)
全国展開によって、おやすみスイッチは新たなブランドとしてどこまで定着するか。
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