「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の大人気漫画『ONE PIECE』(作:尾田栄一郎)ファンのあいだでは、同作品の世界観のいくつかの点が、スタジオジブリの名作アニメ映画『天空の城ラピュタ』に似ていると話題になることがあります。一見まったく異なる2つの作品に、どんな共通点があるのでしょうか。
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まず多くのファンが指摘しているのが、ラピュタに存在する“黒い石柱”です。これは『ONE PIECE』に登場する、重要な歴史を示す碑文“歴史の本文(ポーネグリフ)”と非常に似たビジュアルです。さらに古代文字が刻まれ、それを解読しなければならないところも共通しています。
また、『ONE PIECE』には、主人公モンキー・D・ルフィに代表されるように、作中にはしばしば“D”の名前を持つ人々が登場します。一方で『天空の城ラピュタ』にも“ウル”と呼ばれる一族が登場するのです。
『ラピュタ』のヒロインであるシータは、ウルの一族の末裔です。彼らは天空の城であるラピュタに謎の疫病が流行ったことで地上に舞い戻り、ゴンドアの谷と呼ばれる場所でひっそりと暮らし始めたのでした。しかし同じウルの血を引きながら、ラピュタの持つ力を悪用しようとするムスカという悪役も存在しています。
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この構造も、支配するのではなく自由を求めて海を冒険するルフィと、同じく“D”の名前を持ちながら世界の支配を企む“黒ひげ”ことマーシャル・D・ティーチとの対比と重なる部分があるように思えます。
また『ONE PIECE』には、“空島編”と呼ばれる章があります。名前の通り空に浮かぶ島での冒険が描かれているのですが、そこに登場する過去の人物“モンブラン・ノーランド”にも注目してみましょう。彼はルブニール王国の探検船提督であり、航海の途中で“ジャヤ”という都市にたどり着きます。
その後、突然ジャヤが空中に移動してしまったことで、ノーランドは“うそつきノーランド”として名を残すことになってしまいました。そんなノーランドと、天空に浮かぶ城ラピュタを見たと主張したことで、詐欺師扱いされたまま不慮の事故で死んでしまった“パズー”の父親にも共通点が感じられます。
さらにラピュタの“ロボット兵”と『ONE PIECE』に登場する海軍所有の“人間兵器(パシフィスタ)”も、レーザーを放つなどの類似点があります。人のいなくなったラピュタでロボット兵が生活を続ける様子と、『ONE PIECE』の“エッグヘッド編”で、大昔に動いたとされる“鉄の巨人”が眠っている様子も重なります。
また『ラピュタ』には“ドーラ一家”、『ONE PIECE』には“ビッグ・マム海賊団”と、母と子によって形成された海賊団が登場するところも同じです。それだけではなく、両作品の主人公の声を声優の田中真弓さんが担当されているという共通点もあります。
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ファンからは「かなりの共通点があるよね」「ワンピースの今後の展開が、ラピュタのオマージュになったりして」などの声があがっています。これらの事実から、今後の『ONE PIECE』の展開で『天空の城ラピュタ』のオマージュが行われそうな事件を考えることはできるでしょうか。
たとえば、シータがラピュタの王族であったように、ルフィもまた、謎に包まれている“巨大な王国”の王族だった、ということが判明する可能性があるかもしれません。あるいは、冒険の終着地である“ラフテル”が、ラピュタと同じように破壊の危機に陥り、それをルフィたちが阻止する、という展開も考えられます。
作者の尾田先生の真意はわかりませんが、両作品を改めて見直すと、似ている部分の多さを知れて楽しいかも知れません。
(海川 まこと/漫画収集家)
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