『キン肉マン』大好き作家・燃え殻×爪切男の先月の肉トーク!! vol.40【コミックス派はネタバレ要注意!】

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2024年11月24日 23:40  週プレNEWS

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『キン肉マン』大好き作家・燃え殻さんと爪切男さんが10月の連載を激論!

『ボクたちはみんな大人になれなかった』の燃え殻、『死にたい夜にかぎって』の爪切男の意外な共通点、それは『キン肉マン』!!

希代のストーリーテラーのふたりが10月分の『キン肉マン』連載を甘く、そして辛く批評。

―今回の「先月の肉トーク」テーマ―

第468話 生まれたての時間超人!!の巻(10月7日更新分)
第469話 キン肉マングレートに背く者!!の巻(10月21日更新分)
第470話 信頼に足る眼光!!の巻(10月28日更新分)

<あらすじ> 
モハーヴェ砂漠に到着したキン肉マンを待ち受けていたのは、時間超人・五大刻のひとり"黎明(れいめい)の刻"エクサベーター! 巨大なメガフォンのような形をした超人製造機でもうひとりの時間超人・ガストマンを誕生させる。いくらキン肉マンといえど、2対1の構図は圧倒的不利かと思ったそのころ、まさかのあの男が登場ーー!!

●マスクの伝統、新たに

爪切男(以下、爪) 今回は、第468話〜第470話の3回ですが。

燃え殻(以下、燃) うん。超人製造機から生まれたガストマン、新世代の超人という感じだね。

 両肩にサーキュレーターが付いていて、どんな攻撃をしてくるのかわかりやすし。足も長いし、スタイリッシュだし。

 そうだね。パンタロンだしね。今パンタロンなのは、小林邦昭さんのオマージュかな。

 あ、この間亡くなったから......、追悼?

 うん。追悼だったら素敵だな。

 あと、先生が狙って描いてるのかもしれないけど、これ、パンタロン対決にもなってますよね。

 あ、ほんとだ。キン肉マングレートもパンタロンだもんね。

 このタッグだと、格が釣り合うのは、キン肉マンが五大刻のエクサベーターで、キン肉マングレートがガストマンでしょ。あとそれに、気になるのが、第468話で、ガストマンが、キン肉マンとミートくんを岩盤ごと吸い寄せるのにサーキュレーターを回した時、「サーキュレーションカムバックーーッ」って叫んだじゃないですか。このサーキュレーターをものすごく回転させて、時を戻すことができる能力もあるんじゃないかな、と思ったんです。

 あ、それ、当たってそう。いい読みだね。

 相手を吹き飛ばすのと吸い寄せるだけじゃない気がして。しかし、キン肉マングレート、このタイミングで、えらく派手な登場のしかたですよね。

 ねえ。てっきりシングルだと思ったら、タッグマッチになるとは。

 あ、でも、キン肉マングレートが登場する前は、キン肉マンひとりに対して、敵はエクサベーターとガストマンのふたりで、ガストマンを倒したらエクサベーターが相手をしてやる、って言い出したじゃないですか。それに対してキン肉マンが怒った時、僕、「もしかして、ここでミートくん登板? それでタッグマッチ?」って、ちょっと思ったんですよね。

 ああ、そうだね。だからここへもミートくんは同行したのか、と。

 キン肉マンがビビって尻餅をついた時、ミートくんがかばって、サッとその前に立ったじゃないですか。こういうところがミートくんを信頼できるところですよね。ミートくんだけは本当にスグルを裏切らない、守ろうとする。「ミートくん、やる気なんだ!?」と思った。

 でも、もし本当にやってたら、悲惨なことになっただろうね。

 そうですよね。バッファローマンのハリケーンミキサーで身体をバラバラにされた時以上のね。

 ケニー・オメガ対小学生の女の子みたいな(笑)。だから、キン肉マングレートが現れてくれてよかったよね。中の人は、あのキャラクターで間違いないよね?

 間違いないと思います、前髪が出てるし。でも考えてみたら、出るなら確かにこのタイミングだよな、と。

 うん。キン肉マングレートって、初代のプリンス・カメハメの時も、二代目のテリーマンの時も、中身が誰なのか読者は理解した上で、すごい物語性がある超人だったじゃない?

そういう意味で、グレートって、物語にブリッジをかける意味でちょうどよかったのかもしれない、このタイミングが。グレートってすごい哀愁があるレスラーだから、中身がわかっていてもみんなノレるっていうか。

 そういう意味では、グレートはタイガーマスクですね。初代佐山サトル、二代目三沢光晴、三代目金本浩二、みんな中身がわかっていても言わずに応援する、そしてマスクが伝統的に受け継がれていく。

 そういう、マスクが受け継がれていくキャラクター、『キン肉マン』の歴史の中でも、グレートしかいないよね。

 うん、いない。だから、この先、四代目がないとも言えない。おもしろいですね。

 読者は中身が誰なのか察しているけど、キン肉マンはわかっていないのもいいよね。

 で、第469話の最後から第470話にかけて、グレートが「オレは今日ここに...ある男の代わりに来たのだ!」と、説明を始めた。ここで未来とのつながりを......。

 説明し始めた。

 ゆでたまご先生、ここは先々のイメージがあって描いてたんだろうか?

 荷が重いよね。整理整頓できるのかなあ。

 見守りましょう! 

●平和あふれる?「今週の採用超人」

 あと今回、ぜひ話しておきたかったのは、第468話〜第470話の「今週の採用超人!」なんですけど......。

 ああ、僕もびっくりした。

 第468話の「アクシオス」は、今後の物語に登場してもおかしくない、いかにも今の『キン肉マン』っぽいフォルムの超人だけど。第469話は「ふでばこマン」で、第470話は女性の超人で「絆曹長(きずなそうちょう)」。

 ねえ?

 「ふでばこマン」は、本名で応募しているところを見ても、たぶんお子さんなんでしょうね。小学生ぐらいの女の子だったらいいなあ。

 なるほど、いいねえ。そうだとしたら、先生が採用したのも納得。

 これ、「超人オリンピック」に出るタイプの超人ですよね。

 そうだね。ガソリンプールとかに入れられる感じの(笑)。でもほんと、「アクシオス」のような正統派な超人だけじゃなくて、「ふでばこマン」や「絆曹長」のようなキャラも採用されるのが、『キン肉マン』の超人募集のいいところだよね。

今の物語の展開だと、登場させるのは難しいだろうけど、すべてが終わってこの世が平和になったら、また「超人オリンピック」が開かれて、「ふでばこマン」が出てくる。というふうになってほしいな。

 はははは。

 こういうキャラが元気に出てくるときは、平和だっていうことだね。

 しかし、今の小学生も、ふでばこ使うんですね。しかもこの画だと、ふでばこの中に入っているのが、シャープペンシルじゃなくて鉛筆なんだよな。

 そうなんだよね。今の小学生、授業でタブレットとか使ってるもんだと思ってたけど。

 ああ、じゃあそのうち、「タブレットマン」も送られて来るかも(笑)。でも、そうなると、「絆曹長」のほうは謎ですね。

 ねえ。「絆曹長」っていう名前なのに、出身地はスウェーデン。

 モデルとかいるのかな。ネーミングはすばらしいですけどね、「絆曹長」っていうのは。

 うん。でも、なぜ「絆曹長」なのか、何者なのか、全然わからない。「ふでばこマン」は、誰がどう見ても「うん、『ふでばこマン』だね」だけど。

 気になるから、3コマぐらいでもいいから、「絆曹長」を出してほしいな。「私は『絆曹長』、護衛します」とか言って、そばに付くとか。もしくは、スクリュー・キッド調査隊の一員に加えてほしい(笑)。

 はははは。爪さんずっとこだわってるね、スクリュー・キッド調査隊に。

 「絆曹長」、気になるから検索してみよう(スマホを出す)......あ! あった!

 え、嘘!?

 これを投稿した方が、自分で元のイラストをアップしてるんです、ほら(燃え殻に見せる)。

 うわ、画がうまいねえ、この人! プロなのかな?

 でもこれを見ると、元の名前は「きずなそうちょう」じゃないみたいですよ。「ばんそうちょう」って書いてある。

 あ、ほんとだ!

 「絆創膏」のシャレなんですね。手首足首のプロテクターが絆創膏型で、見た目の割にすごく硬い、という但し書きが。

 そうか。じゃあそれを、担当編集が「きずなそうちょう」と読み替えたっていうこと?(*編注:実際そうみたいです)

 まあ、そのほうが深い意味が出るというか、キャラクターにいろいろバックボーンがありそうに思えるのが、いいかもしれないですよね。

 (笑)。とにかく本編に出てくるのが観たい、「絆曹長」も「ふでばこマン」も。

燃え殻(MOEGARA)
1973年生まれ、神奈川県出身。働きながら始めたツイッターでの発言に注目が集まり、作家デビュー。『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮社)、『すべて忘れてしまうから』(扶桑社)、エッセイ集『それでも日々は続くから』(新潮社)『これはただの夏』(新潮社、8月28日に文庫版発売)、『ブルー ハワイ』(新潮社)など多数の著作がある。最新著は『明けないで夜』(マガジンハウス)。ドラマ『あなたに聴かせたい歌があるんだ』(漫画:おかざき真里/扶桑社)はHuluで配信中。出演中のラジオ番組 『BEFORE DAWN』(J-WAVE、毎週火曜26:00〜27:00)もチェック

爪切男(TSUMEKIRIO)
1979年生まれ、香川県出身。2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)で小説家デビュー。2020年、同作が賀来賢人主演でドラマ化。『きょうも延長ナリ』(扶桑社)が発売中。集英社発のWebサイト『よみタイ』で好評を博した、美容と健康にまつわるエッセイ『午前三時の化粧水』が来春書籍化予定。ドライバーWebで『横顔を眺めながら 〜爪 切男の助手席ドライブ漂流〜』を連載中。主演:木村昴でのドラマ放送でも話題となった『クラスメイトの女子、全員好きでした』が文庫化

取材・文/兵庫慎司  撮影/鈴木大喜 ©ゆでたまご/集英社

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