<ラグビーテストマッチ・リポビタンDツアー2024:日本14−59イングランド>◇24日(日本時間25日)◇アリアンツ・スタジアム(英ロンドン)
今季最終戦を迎えた日本(世界ランク13位)が、イングランド(同7位)に完敗した。
前半で主導権を握られ、計9トライを献上。対戦成績は13戦全敗となった。
就任1季目のテストマッチを4勝7敗で終えたエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)は「新しい車に乗っているような感じだ。1つがうまくいけば、もう1つの部品が壊れてしまう。ラインアウト、スクラムのどちらもうまく運べなかった。プロセスを重視し、やり続けることが大事になる」と評価した。
序盤から厳しい戦いを強いられた。
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FWは相手の強みであるスクラムやモールで押し込まれる展開が続き、当日に急きょ先発フッカーに繰り上がった代表初キャップの李承■(三菱重工相模原ダイナボアーズ)は「僕らはギャップ(相手との間合い)をつぶして、素早く低く組みたかった。ただ、なかなかレフェリーとコミュニケーションが取れず、イングランドのしたいスクラムに付き合ってしまった」と反省した。
前半5分にSH斎藤直人主将(スタッド・トゥールーザン)が先制を狙ったPGを失敗。自陣に押し込まれる展開が続き、同9分にNO8ベン・アール(サラセンズ)の先制トライを許した。
同14分にはラックサイドをフランカーのサム・アンダーヒル(バース)に突かれてトライ献上。32分までに4トライ4ゴールで0−28となった。同34分にCTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)の突破から、パスを受けた斎藤がトライ。前半を7−35で折り返し、フランカー姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)は「前半であれだけイングランドの思う通りにプレーさせてしまうと、ゲームに勝つことは難しくなる」と悔やんだ。
後半は日本が盛り返した。だが、相手陣での攻撃で得点につなげられず、14分にWTBトミー・フリーマンの背後へのパスに反応したFBジョージ・ファーバンク(ともにセインツ)に最初のトライを奪われた。7−45の22分には、味方の縦への突破から連動してフランカー姫野がトライ。14−45としたが、2トライ2ゴールで引き離された。
この日は相手防御裏のスペースを狙った短いキックを積極的に使ったが、有効な打開策にはならなかった。ジョーンズHCは「ボックスキック(高く蹴り上げるキック)で(相手との)コンテストは避けたいと思っていた。(前後の防御)ラインの間に落とすのはスキルが必要で苦戦したが、アイデアとしては新しいものだったと思う」。その前段階として、途中出場のCTB梶村祐介(横浜キヤノンイーグルス)は「フィジカル勝負の中での我慢強さが欠けている。現状の一番の課題。フィジカルで戦えないと、何もできなくなる」と危機感を口にした。
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秋は国内1試合、欧州で3試合を消化した。ニュージーランド戦の64失点を皮切りに、フランスに52失点、格下ウルグアイの20失点を経て、この日は59失点と厳しい戦いが続いた。梶村は「正直どこでボールを取るかのプランが、今はあまりない。相手のエラー待ちになってしまう。ディフェンスのゴールが見えない」と素直な思いを明かした。
海外メディアから目指すステージを問われたジョーンズHCは「まずは時間、本日のような学びが必要だ」と切り返した。かつて率いたイングランドの司令塔に成長した25歳のSOマーカス・スミス(ハーレクインズ)を例えに出し「若いころから見いだしていた選手の1人。今晩の状況判断、落ち着きは素晴らしかった。それが40キャップ(この日で39キャップ目)を持っているプレーヤー。こういったプロセスを積むには我慢が必要」と強調した。
27年W杯オーストラリア大会まで、残り3年を切った。新戦力の発掘を重視した新体制1年目。強豪国との大きな地力の差が、浮き彫りになった。【松本航】
◆24年のテストマッチ
日本17●52イングランド(6月22日、東京・国立競技場)
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日本23●25ジョージア(7月13日、宮城・ユアテックスタジアム仙台)
日本14●42イタリア(7月21日、北海道・札幌ドーム)
日本55○28カナダ(8月25日、カナダ・バンクーバー)
日本41○24米国(9月7日、埼玉・熊谷ラグビー場)
日本49○27サモア(9月15日、東京・秩父宮ラグビー場)
日本17●41フィジー(9月21日、大阪・花園ラグビー場)
日本19●64ニュージーランド(10月26日、神奈川・日産スタジアム)
日本12●52フランス(11月9日、フランス・サンドニ)
日本36○20ウルグアイ(11月16日、フランス・シャンベリー)
日本14●59イングランド(11月24日、英ロンドン)
※■は火ヘンに赤2つを横に並べる
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