フタバは11月22日、年賀状じまいに関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2024年9月18日〜9月25日、20〜80代以上の年賀状じまいをした人200名を対象にインターネットで行われた。
○近年急増する年賀状じまい、5年以上前からやめた人も2割以上
年賀状じまいとは、来年からの年賀状の辞退を伝えること、年賀状をやめることを伝える最後の年賀状のこと。「年賀状じまいをしてから何年くらい経ちましたか?」と質問したところ、最多は「2〜3年」で72名(36.0%)、次いで「1年」が61名(30.5%)、「5年以上」と答えた人は46名(23.0%)だった。この結果から、ここ数年で年賀状じまいをした人が急増していることがわかる一方、5年以上前から年賀状をやめている人も2割以上いることがわかった。
○年賀状じまいのきっかけ
年賀状じまいをしようと思ったのか、そのきっかけを尋ねたところ、「友人の何人かが年賀状を辞めると連絡があったので便乗してやめました。」(40代女性)、「友達がLINEで新年の挨拶をしてくるようになったから。」(20代女性)、「年賀はがきの値段が高くなったから。」(40代男性)、「段々年賀状を出している人が少なくなり、祖父の喪中ハガキをきっかけに年賀状じまいをしました。」(20代女性)などといった声が寄せられた。友人や知人が年賀状をやめると、それに影響されて自分もやめるケースが多いようだ。またLINEやSNSの普及により、手軽に新年の挨拶ができるため、年賀状じまいに踏み切る要因となっているのでは。
○"事前連絡派"が半数以上の一方で"黙ってやめる"も4割
年賀状をやめる方法を尋ねたところ、最多は「特に何もしていない」で85名、次いで「メールやLINEで伝えた」が64名、「その旨を書き添えた年賀状を出した」が38名という結果になった。
事前に相手に伝えてから年賀状をやめた人が半数以上を占める一方で、とくに何も告げずにやめた人も4割近くに上っている。多くの人が年賀状をやめる際に一言断りを入れるが、事前連絡なしで年賀状を途絶えさせるケースも一定数存在しているようだ。年賀状の歴史は長くても、年賀状じまいに関するマナーのようなものは、まだ確立されていないのかもしれない。
○年賀状じまいの結果、8割以上が「よかった」と回答
「年賀状じまいをしてよかったと思いますか?」という質問では、実に83%にあたる166名が「よかった」と回答している。一方「(よかったとは)思わない」と答えた人は、わずか4名(2%)、「どちらとも言えない」という中立派は30名(15%)だった。年賀状をやめた人の大半は、年賀状じまいを肯定的に捉えている様子がうかがえる。
それぞれの回答理由を見てみると、年賀状じまいをしてよかったと思う理由には、「年賀状の心配がなくなっただけでもストレスが大幅に軽減された。年末の悩みが減って嬉しかった。」(40代女性)、「進学などで新たな友人ができた際に住所を聞いたりしなくてよくなった。友人関係の中でどこまで送るか等を考えなくてよくなった。」(20代女性)、「毎年値上がりするハガキの代金を節約できた。」(60代女性)といった回答が寄せられた。
年賀状じまいを後悔している理由には、「なくなってしまったご縁もあるので、さみしいなとも思う。」(20代女性)、「受け取った年賀状を見て返せるなら返そうか?と、悩んでしまうので。」(40代男性)、「LINEや連絡先を知らない人とは挨拶が出来なくなってしまったから。」(30代女性)といった回答がみられた。
「どちらとも言えない」を選んだ人からは、「書かなくなって楽なのですが、少し寂しい気もしますね。1月1日は年賀状をいつも楽しみで家族と会話をしながら見ていたので。」(70代女性)、「友人の子らの成長を見れなくなるのは少し寂しい。離れていて会えないが、成長を感じていたので。」(40代女性)、「年賀状でお互い生存を確認していたが年賀状をやめどうしてるか全くわからずさみしい。」(50代女性)などの回答が寄せられた。
年賀状じまいをした人の多くは、忙しい年の瀬に余裕が生まれ、他の用事に時間を避けるようになったことを評価する人が多いようだ。その一方で、「疎遠になってしまった人との縁を思うと寂しさを感じる」という意見や、「年賀状という日本の文化的習慣を大切にしたい」といった声も聞かれた。とくに「友人とはSNSで気軽に連絡が取れるが、年賀状が唯一の交流の機会だった親戚とのつながりが途絶えてしまった」と漏らす人もおり、あらためて年賀状が担ってきた役割の大きさがうかがえる。年賀状じまいには、効率化や合理化といったメリットがある一方で、人とのつながりの希薄化や文化の継承といった面でのデメリットもあるようだ。
○年賀状じまいへの後悔はほとんどなし、しかし一部に人間関係の希薄化を懸念する声も
続いて「年賀状をやめて後悔したことはありますか?」という質問に対し、全体の77.5%にあたる155名が「ない(後悔したことはない)」と回答した。一方「ある(後悔したことがある)」と答えたのは21名(10.5%)で「どちらとも言えない」は30名(12.0%)だった。
それぞれの回答を見ていくと、「後悔したことはない」と答えた人からは、「年末の仕事が減って、必要なことに時間を割けるようになったから。」(20代女性)、「現在、交流している人との間に支障がないため。」(60代男性)、「LINEで連絡は取れるので。」(30代女性)との理由があがった。
「後悔したことがある」と答えた人からは、「時々さみしくなることもあり、文化としても残ったほうがよいと思っているため。」(30代女性)、「友人や知人との間が疎遠になるような気がします。」(70代男性)、「こちらが、年賀状じまいをしても、先方様から、まだ年賀状をいただくので。」(40代男性)といった声が寄せられた。
「どちらとも言えない」には、「ラインやメールにはない煩わしさはあるもののデザインを作ったりもらうのは嬉しかったから。」(40代女性)、「今のところ物理的には困っていませんが、お正月の楽しみが減ったような気もします。」(30代女性)、「今まで年賀状でやり取りしていた先生らと連絡が取れなくなるので。」(40代女性)といった声が集まった。
○年賀状じまい後の年始挨拶は、7割が「LINE・メール」
続いて、年賀状をやめた後の年始の挨拶方法を質問した。その結果「LINE・メール」が最も多く140名(70.0%)だった。次いで「年始の挨拶はしない」が50名(25.0%)、「直接会う」が43名(21.5%)という結果になった。多くの人がLINEやメールを使って年始の挨拶を済ませるようになった様子がわかる。
一方で25%の人は「年始の挨拶をしない」と答えており、年賀状じまいをきっかけに、年始の挨拶自体をしなくなった人も少なくないようだ。とはいえ、直接会って挨拶を交わすという人も2割以上いることから、対面でのコミュニケーションを大切にする人もいる。
年賀状じまい後の挨拶方法について、具体的な回答を見ていくと、「携帯を持っている人にはLINEでして携帯を持ってない人には電話をしています。」(40代男性)、「直接会うのが1番、コミュニケーションできるから良いと思う。相手の顔を見て、お話しできる。」(30代女性)、「以前にデジタル年賀状を受け取った事があります。これは便利だな〜と思っていたので、画像を作ってSNSに添付して挨拶をして終わらせるのが簡単でいいなと思っています。」(40代女性)、「ビデオ通話だと相手の顔が見れるので、元気で過ごせているのかがわかって良い。近況報告もできるので良い。」(40代女性)、「ご年配の知り合いにはお手紙、その他はSNS等で発信する事で、手軽に一言二言のやり取りで済むのが有難い為。」(20代女性)などのコメントが寄せられた。年賀状という長年の習慣をやめた後、一人ひとりが自分なりの方法で大切な人とのつながりを維持しているようだ。
また、「年始の挨拶はしない」と答えた人からは、「『年賀状じまい』をした意味がなくなりますので。」(70代男性)、「わざわざ挨拶しなくても、どこかで会った時にすれば良いと思っているから。」(40代女性)といった意見が寄せられた。(Yumi's life)