ヤマハ発動機はこのほど、動画配信サービス「Netflix」のオリジナルアニメ『Tokyo Override』の制作に協力。11月21日より、「Netflix」にて世界独占配信がスタートしている。
『Tokyo Override』は、AIが暮らしに溶け込み、都市生活のすべてが自動化された100年後の東京が舞台。実在するバイクとオリジナルデザインのバイクが、轟音を上げながら疾走するバイクアクションSFアニメーションとなっている。
同作品を制作するにあたって、同社はスーパースポーツバイク「YZF-R1」やロードスポーツバイク「VMAX」の立体・画像データの提供や音収録に協力。さらには、「多くの方にバイクの世界へ関心を持ってもらいたい」との思いから、アニメ内に登場する100年後の世界の構築やモビリティの提案、レースマシン「Y/AI(ワイエーアイ)」のデザインなどを行い、ビジュアル面および映像サウンドの監修にも協力、これら3モデルは、アニメーション化されて作品中に登場するという。
制作に協力したメンバーの1人である同社プランニングデザイン部の中村智さんは、「特に興味深かったのは、制作チームとともに行ったワールドビルディングというプロセスでした」と振り返り、「100年後の東京の世界観について時間を掛けて議論を重ね、その成果が作品づくりの“バイブル”としてまとめられました。登場するモノやコト、もちろん展開するストーリーも、400ページにわたるこのバイブルに則して進んでいきます」と話す。
作中で描かれる高度にAIが発達した社会では、交通事故等のトラブルは限りなく起こりにくくなった一方で、自然災害まではコントロールできない。その備えとして、制作サイドが着目したのがレースという舞台だった。「レースでは想定外のアクシデントが発生します。それをリスクの洗い出しや、安全な場所に移動するパスウェイ探索の手段とする発想がユニークですし、これにレース本来のエンタメ要素が加わった姿に、100年後のレースの意義という点でリアリティを感じました」と中村さん。
スターライダーの1人、アマリンが駆るのは、人間の可能性を信じるマシン「Y/AI」。MotoGPマシン「YZR-M1」と共通のライダーポジションなどリアリズムを追求しながら、未来のバイクを先行デザインとプロダクトデザインの視線でバランスさせたフォルムも注目のひとつだ。「物語の背景には、バイブルに記された100年後の社会構造やテクノロジー、人びとの価値観が流れています。そうしたものを感じたり考えたりしながらご覧いただくと、おもしろさがより深まるかもしれません」(中村さん)
なお、「Y/AI」は、実物大コンセプトモデルが製作され、11月下旬からタイ・バンコクで開催される「モーターエキスポ2024」に展示される予定となっている。(CHIGAKO)