寒い日が続くと、どうしても外に出るのがだんだんとおっくうになる。「気づいたらずっと家の中にいて、なんだか足腰が重い……」という人も少なくないだろう。足腰の衰えが引き起こすのは、思わぬ転倒や骨折。ちょっとした転倒でも、それによるけがから寝たきりの生活になるリスクもある。
「家にいる時間が増える今の季節こそ、手軽においしくタンパク質補充ができる『アイスクリーム』がおすすめです」
こう語るのは、病院や保育園で管理栄養士として勤務してきた稲尾貴子さんだ。
「乳製品から作られるアイスにはカルシウムが豊富に含まれています。卵が入っている商品を選べば、タンパク質も補充できます。カルシウムは骨を強くし、タンパク質は筋肉を作ります。筋力低下を予防することで転倒や骨折予防にもつながるのです。牛乳や乳製品から作られるアイスは、特に筋力低下が始まる50代以上の人にとってカルシウム補給に適した食品なんです」(稲尾さん)
口当たりがよく、食欲がないときに手軽に食べられるのもアイスの魅力の一つ。また、乳製品に含まれるタンパク質を取ることは、脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌促進という効果も。アイスを食べることで、イライラや攻撃性が減った、という研究データもあるほどなのだ。
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コンビニエンスストアでも手に入る、手軽な“ご褒美”として楽しみの一つにしている人も多いアイスだが、幸せな気分にさせてくれるのは、おいしさからくるものだけではないようだ。アイスといえば夏の暑い時期のスイーツというイメージがあるが、じつは冬は年間を通して最も多くの種類のアイスが店頭に並ぶ季節であることをご存じだろうか。日本アイスクリーム協会の石井克明さんに話を聞いた。
「冬のアイス市場は、ここ数年で大変盛り上がっています。冬は夏よりもコクのあるアイスが食べたくなりますよね。そこで、各メーカーが夏とは異なる、成分の濃い商品を多く発売します。
さらにクリスマスや年末など、イベントでアイスを食べる機会も増加。そこで、高級アイスなどさまざまな商品が店頭に出回るのです。冬は、いろんな種類のアイスを楽しめる時期なんですよ」
冬は室内の湿度が低く、暖房器具などで乾燥する。そのため、コクのあるアイスで喉を潤すという人も多いようだ。総務省の家計調査によると、12月のアイスの支出額は年々増加傾向にある。冬場に登場する「期間限定」と銘打たれた新商品はつい気になってしまうもの。食品の値上げが相次いでいるが、アイスの楽しみは我慢できないという人も多いのではないだろうか。
暖かい部屋でアイスを食べる至福のひとときを、寝たきり防止などにもつなげられるとあれば願ってもない話。しかし、好きなアイスを好きなだけ食べていては、健康面でも心配な点が出てくる。
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そこで、アイスを選ぶ際に必ず確認したいのが商品の選び方だ。アイス類は乳固形分と乳脂肪分の量で、次の4つに分類される。
【1】アイスクリーム…4つの種類の中で、乳固形分と乳脂肪分が最も多い
【2】アイスミルク…アイスクリームと比較すると、乳固形分と乳脂肪分が少ない
【3】ラクトアイス…乳脂肪分の代わりに、植物油脂が使用されることが多い
【4】氷菓…果汁などを凍らせた、アイスキャンデーやかき氷
カルシウム補給になるのは、【1】の「アイスクリーム」。パッケージ表面や食品表示欄に「アイスクリーム」と記載されている商品を選ぶようにしよう。
「『アイスクリーム』と表示されたものは、主成分が牛乳などの乳製品です。そのため、カルシウムやタンパク質を補給することができます。『アイスミルク』や『ラクトアイス』の場合、植物油脂やぶどう糖果糖液糖など、乳製品ではない成分が主な成分になってしまいます」(稲尾さん)
同時に、添加物の表示にも注意を忘れずに。
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「添加物がなるべく入っていないアイスクリームが理想です。添加物の『リン』は取りすぎるとカルシウムの吸収を妨げてしまいます。せっかくアイスクリームで取った栄養素が、体に吸収されにくくなってしまうのです」
食べ方にも注意が必要。1日1個までを目安にするなど、食べすぎないことが大切だ。
また、空腹時にアイスクリームを食べると、急な血糖値の上昇により、糖尿病などのリスクにつながってしまう。寝る3時間前にはアイスクリームを食べ終えるようにして、就寝時の胃腸に負担をかけないように心がけたい。
「おすすめは、食後のアイスクリームです。朝食や昼食の後など、食事で体が温まった状態でアイスクリームを楽しんでください。栄養を補えるだけでなく、血糖値の急上昇や急激におなかが冷えてしまうことも防げます。アイスを楽しみにすることで心も満たされますよ」(稲尾さん)
つい目移りしてしまう冬のコンビニアイス。選ぶ際は、せっかくだから健康効果を得られるものを、という視点でチョイスしてみては。
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