斎藤知事“公選法違反”疑惑、PR会社と「口頭契約」報酬70万円 公職選挙法に違反?【Nスタ解説】

4

2024年11月26日 20:42  TBS NEWS DIG

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TBS NEWS DIG

TBS NEWS DIG

兵庫県の斎藤元彦知事が知事選でのSNS戦略をめぐり、公職選挙法違反の疑いを指摘されている問題で、斎藤知事の代理人が広報全般を任されたとするPR会社との契約が「口頭契約」だったと明らかにしました。

【写真を見る】公職選挙法に違反?PR会社と「口頭契約」報酬70万円

PR会社「広報全般を任された」

南波雅俊 キャスター:
11月に行われた兵庫県知事選挙で再選した斎藤元彦知事。勝敗を分けたのはSNS戦略。ここについて公職選挙法違反の疑惑が今浮上しているわけです。

きっかけとなったのが、選挙の3日後にPR会社が投稿したコラムでした。内容の要点をまとめています。

<PR会社がコラム投稿>
・広報全般を任された
・運用戦略立案やコンテンツ企画など責任を持って行った
・兵庫県にある会社が手がけたということもアピールしたい
⇒SNS戦略は“自分たちが手がけた仕事”
というような投稿があったわけです。

では、続いて公職選挙法について見ていきます。

選挙運動というのは原則“無報酬”です。例外となるのが、事務員、ウグイス嬢あるいは手話通訳者。もしくは、原則公費負担となっているのがポスター・ビラの制作。主に印刷に関しては原則公費負担だということなんです。

これ以外は原則、買収罪に問われる可能性が出てくるというわけです。

そして、選挙運動の企画立案など業者が主体的に行うもの、これに対して報酬を支払うと買収罪適用の可能性が出てくるというわけなんです。

25日、斎藤知事は、ポスターなどの制作費としてPR会社に70万円ほど支払ったと。これであれば違法ではないというわけなんですが、SNSは斎藤事務所が主体的に運用して、PR会社の社長はボランティアとして参加したんだというような主張をしています。

代理人弁護士も、主体的な企画立案への報酬ではなく、これは違法ではないんだというふうに話をしています。

そして、PR会社との契約は口頭契約、正式な契約書は交わしていないという、ここまでがわかっている事実です。

井上貴博 キャスター:
PR会社の社長は、これまで県に絡む仕事をしていた。今回の選挙でも選挙カーに乗るなどしてSNS発信もしていた。ですが正式な契約書は交わしていない。70万円が何だったのか、ボランティアが何だったのか、あとはもうPR会社の社長側も会見を行うべきなんじゃないかなという段階に入ってきた気がするんですが、何か知りたいことが多くあるんです。

安野修右 日本大学法学部 専任講師:
そうですね。あまりにも出てきている事実というのが相互照らし合わせて不整合なことが多いので、まず何よりもその事実認定というのが必要なんだと思います。それに当たっては、当然斎藤さんの陣営側の事実というのも明らかにしていただきたいですけれども、同時に業者さんがどういうふうに行われたのか、どういうふうな取り決めがあったのか、という事実を明らかにしてほしいとまずは思います。

PR会社と「口頭契約」報酬70万円

ホラン千秋 キャスター:
となると、どういう契約だったのかなど書面に残っていれば確認できると思うんですが、これ口頭契約だと何か問題があるのか、別に口頭契約でもいいものなのか。

安野修右 日本大学法学部 専任講師:
そうですね。それ自体はあまり僕が実務に詳しくないものですから、何とも言えないところがあるんですけれども、そういうふうな形で契約を結ぶということも、選挙の流れ上の問題としてはあるのかなとは思いますね。

井上 キャスター:
これ例えば斎藤さんのおっしゃる通り、全て問題ないボランティアだったんだとすると、斎藤さん側からすると名誉毀損などで訴えてもいいような事案にも思うんですが。

安野修右 日本大学法学部 専任講師:
そうですね。その多大な被害というものを斎藤さんに対して与えているということになりますので、それに対して何かしらの措置を取るというようなことっていうのは、あってもいいのかなと感じます。

南波 キャスター:
では続いて見ていきたいと思うんですが、PR会社の社長の経歴です。兵庫県の地方創生戦略委員ですとか、eスポーツの検討委員会、そして空飛ぶクルマ会議検討委員など、様々な委員なども務めているわけです。

公職選挙法では、特定の地方公共団体と利害関係のある契約を仮に結んでいたとしたら、これが結んでいると言ってるわけではなくて、仮に結んでいるとしたら、その地方の知事選挙などで寄付を行うことは禁止されています。

これがまさに無償で、もし業務をやっていた場合も、寄付行為に当たる可能性があるというわけなんですよね。PR会社の社長も仕事というふうにも言っていたわけで、それが無償であれば寄付行為に当たる可能性もある。

そして、違法が認められると、公職選挙法の買収罪、3年以下の懲役・禁錮刑または50万円以下の罰金が課される可能性があり、連座制によって候補者本人が当選無効の可能性もあるということです。

井上 キャスター:
法律の部分のお話になりますけど、そもそもこのグレーの部分が多くて、どうも現代のネットでの選挙活動というのを想定していないというか、公職選挙法自体が相当時代遅れだなというのも感じます。

安野修右 日本大学法学部 専任講師:
そうですね。公職選挙法は1950年に出来たものですが、基本的な枠組みは1925年にできたものをそのままほとんど踏襲しているので、内容そのものが、今の時代に見たらもう不整合極まりないものというのが多々ある、そういう規定になっているのは間違いないと思います。

ホラン キャスター:
利害関係のある契約を結んでいる会社・団体などが無償で業務をやっていた場合、寄付行為に当たる可能性は、今は報酬がなかったとしても将来的に例えば仕事を振ってもらえたりとか、そういう利益が先にあるからということなんですか?

安野修右 日本大学法学部 専任講師:
恐らく199条の話とはまた別の話だと思いますが、あくまで、ここの話に出てくるというのは当該企業ないし請負業者みたいなものが選挙に関して寄付してはいけないという規定なので、将来的な約束は関係ない。

井上 キャスター:
可能性の認定って、どうやって積み上げていくんですか?

安野修右 日本大学法学部 専任講師:
実際に契約行為を結んでいたのか、どういう業務を行っていたのかなどです。あるいは当該企業がやった活動が実際に財産上の利益を持つのか。要するに、本来報酬を支払うべき業務なのか、ということから、総合的に判断していくということになるかと思います。

ホラン キャスター:
この問題に関して、安野さんが思う一番のカギはどのポイントになりますか?

安野修右 日本大学法学部 専任講師:
221条の話に関わることだと思いますが、その当該企業がやっていたものがそもそも選挙運動性を持つのかということと、あとはその選挙運動に対する、陣営側の対価とは言っていないけれども、支払いが実際にあったのか。その2つが一番重要になるのかなと思いますね。

==========
<プロフィール>
安野修右 さん
日本大学 法学部 専任講師
公職選挙法に詳しい
選挙運動規制研究

このニュースに関するつぶやき

  • せっかく再選できたのに失職したら堪らないから当然関係者全員の口裏合わせ真っ最中ですよね?
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(4件)

前日のランキングへ

ニュース設定