11月19日、『第75回NHK紅白歌合戦』の出場歌手が発表された。
「紅組は、JO1などを輩出したオーディション番組から誕生したガールズグループME:Iや、今年デビューしたばかりのK―POPグループILLITなどが初出場します」(スポーツ紙記者、以下同)
一方の白組は、
「1月に配信リリースした『Bling―Bang―Bang―Born』が世界的ヒットとなったCreepy Nutsや、菅田将暉さんの弟でTikTokを中心に大ブームとなったこっちのけんとさんなどに加えて、滝沢秀明さんが率いる『TOBE』からNumber_iが初出場を果たします」
初出場組以外では、紅組にTWICEやLE SSERAFIMといったK―POP勢、白組には山内惠介やけん玉でおなじみの三山ひろしといった演歌歌手も出場する。
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《目玉アーティストいない》
テレビプロデューサーの鎮目博道氏によると、このラインナップでは「視聴率は負け戦確実」だという。
「紅白は、1年の終わりに家族が集まって、みんなでその年を振り返りながら盛り上がる、国民的番組でした。しかし、今年の出場者はK―POPかお年寄り向けの人か、なぜか毎年出ている人が中心で、家族共通の話題になりづらい。結局、誰にもあまり刺さらない感じになってしまっています」(鎮目氏)
また、ネット上では、
《今年は目玉になりそうな演者がほぼおらんな》
《サプライズ的な目玉アーティストいない感じ》
といった声も。今後、特別枠などで追加出場が発表される可能性もあるが、
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「“目玉候補”と囁かれていたのが、STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ。以下、STARTO社)に所属するグループが出場するかどうか、でした。しかし、最終的に出場はナシ。NHK側もSTARTO社からの“追加出演の可能性はない”と明言しています」(芸能リポーター、以下同)
紅白からSTARTO社が消えたのは2023年のこと。創業者の故・ジャニー喜多川氏による性加害問題が表面化し、NHKは2023年9月に所属タレントの新規起用を行わないことを発表していた。
「そのため、2023年の紅白では44年ぶりに旧ジャニーズの出場がなくなり、タレントたちは各グループで生配信などを行っていました。今年の春改編では、性加害問題の以前から放送されていた旧ジャニーズのタレントが出演する番組も消滅。事実上の“出禁”となっていました」
起用再開の条件として“被害者への補償や再発防止の取り組みが行われること”“STARTO社と旧会社の経営分離”を挙げており、
「NHKの稲葉延雄会長が10月16日に行った会見で、“これらが進んでいることが確認できた”として起用再開を発表しました」
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一度は迎えたはずの雪解け
例年、紅白の出場歌手は11月中旬に発表されており、
「このタイミングでの“出禁解除”は、紅白にSTARTO社のタレントを出場させるためではないかと見られていました。出場のなかった2023年の紅白は、平均世帯視聴率が過去最低となってしまいましたから、制作サイドはどうにか復活させたかったのではないでしょうか」
こうして“雪解け”を迎えたNHKとSTARTO社。紅白出場に向けた交渉も、水面下で進められていた。
「“STARTO枠”は2枠用意されていたそうです。出場候補として、SixTONESやKing & Princeといった複数のグループの名前が挙がっており、特に、なにわ男子など関西勢には紅白出場に前向きなグループもあったそうです」(NHK関係者)
実際、SUPER EIGHTの安田章大は、スポーツ紙の取材に対して、
《お声がけいただいたら断る理由はない》(『サンケイスポーツ』11月22日付)
と、答えていた。
一方で、NHKとしては、
「どうにかSnow Manに出場してもらいたかったといいます。老若男女から人気があり、CDのセールスなどの実績も高い。実現すれば、視聴率アップも見込めますし、大きな目玉となっていたでしょう」(前出・NHK関係者)
しかし、10月20日に放送されたNHKスペシャル『ジャニー喜多川“アイドル帝国”の実像』(以下、Nスペ)によって、風向きが変わったという。
「ジャニー喜多川氏の性加害問題について改めて扱ったその内容に、STARTO社と所属タレントが激怒したというのです」(芸能プロ関係者、以下同)
“紅白はもう出ない”
そもそも一部の所属タレントは、Number_iなどの“元ジャニーズ”がNHKで重宝されていることへの不満を以前から募らせており、
「そんな中での『Nスペ』でしたから、余計に怒りを買ってしまったそうです。そのため、年内に予定していたNHKの番組への出演を取りやめたといいます。特に、Snow Manの一部のメンバーが強く反発して“紅白はもう出ない”ということになったんだとか」
NHKが強く出場を望んだグループが“NG”の意思を示したことで、
「STARTO社全体に“紅白NG”という空気が広がったようです。このままでは、来年以降の紅白出場もどうなることやら……」
前出の鎮目氏に、今後のSTARTO社の紅白出場について聞いた。
「STARTO社はもちろん怒っていると思いますが、本音ではタレントを紅白に出したいはず。このまま出ないでいると、Number_iを筆頭に他事務所のグループに取って代わられる可能性もありますし、それは避けたいでしょう」(鎮目氏、以下同)
紅白に出ることでそのタレントに“箔”がついて、宣伝効果が大きいこともメリットだという。
「しかし、今年の紅白で復帰をして“禊ぎが済んだ”としたかったところに『Nスペ』の放送で状況が変わってしまった。そうなると、新たな落としどころを見つけなければならないでしょう。ただ、その話し合いには時間がかかりますし、紅白以外にNHK復帰に適した番組も考えにくいので、1年先送りにして来年の紅白で復帰というのが自然な流れではないでしょうか」
来年も“お粗末”な紅白にならないとよいけれど……。
鎮目博道 テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日に入社。報道番組プロデューサーなどを経て、『ABEMA』立ち上げに参画し2019年に独立。著書に『腐ったテレビに誰がした?「中の人」による検証と考察』(光文社)など