首都圏を中心に相次ぐ強盗などの事件で、逮捕された実行役らが秘匿性の高い通信アプリで指示を受ける際、発信元は米国を示す国番号「1」が付いた電話番号だったことが捜査関係者への取材で判明した。市外局番は米国の複数の州にまたがっているが、警察当局は、広大な米国で複数の拠点を設けるのは現実的ではないとして、指示グループが米国から発信しているように偽装したとみている。
一連の事件は8月以降に首都圏などで28件発生。警察当局はこれまでに実行役ら約60人を逮捕している。
警察当局は逮捕された容疑者から100台を超えるスマートフォンを押収。警視庁の「捜査支援分析センター」を中心に解析を進めている。大半は秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」で指示を受け、強盗などを実行していたとみられる。
捜査関係者によると、シグナルなどで連絡を受けていた実行役らのスマホには、国際電話の国番号が米国を示す「1」で始まる複数の電話番号が発信元として表示されていた。また、市外局番は米西部のネバダ州やカリフォルニア州など、米国内の複数の地域にまたがっていたという。
米国内の電話番号はインターネットの複数のアプリから取得することが可能といい、任意の市外局番を選べるという。そして、スマホにダウンロードしたシグナルで、米国の電話番号を入力してアカウントを取得。シグナルで通信すれば、米国内に滞在していなくても、米国の国番号が付いた電話番号で発信することができる。
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警察当局は、国土が広い米国に複数の拠点を設けるのは考えにくいとして、指示グループが拠点の発覚を防ぐ目的で、アプリを使って米国内の電話番号を取得。その番号で取得したシグナルのアカウントで、実行役らとやり取りをしていたとみている。
国際電話番号は近年、特殊詐欺でも悪用されるケースが急増している。警察庁のまとめでは、2023年7月の969件から、24年5月には4432件と4倍超に上った。国番号は英国の「44」やオーストラリアの「61」なども確認されており、特殊詐欺などの指示グループが、「050」で始まるIP電話で本人確認が義務づけられたのを機に、悪用するようになった可能性があるという。
今回の強盗などの事件の指示グループは「織田信長」や「夏目漱石」など少なくとも30個のアカウントを使い分け、一部の事件では重複している。警察当局は、指示役が複数人おり、指示グループをつくっている可能性もあるとみて調べている。【岩崎歩、菅健吾、朝比奈由佳】
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