末期がん70歳母、最後に食べたがった「551蓬莱の白い…」 店員の対応に今も感謝「悲しいけど素敵な話」「豚まんより食べてた」

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2024年11月27日 07:20  まいどなニュース

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母が551蓬莱で食べたいと言ったのは…(551蓬莱公式サイトより)

「551のアイスキャンデーには感謝しかなくて。昔ね、癌末期で入院中だった母が551の白いフルーツのアイスキャンデーが食べたいと。おいおい、真夏に無理を…と、思って。まあ、末期だし先生もいいよだったんで、難波に買いに行って河内長野まで溶かさずどうしたらと、お店の人に話したら…」

【写真】母が551蓬莱で食べたいと言ったのはコチラ

「551蓬莱」(株式会社 蓬莱、本社:大阪市浪速区)と言えば、豚まんが今や全国区で知られる存在。大阪・なんばにある本店や新大阪駅の販売店には出張帰りの人や観光客が長蛇の列を成しています。また、全国各地の物産展などでも大盛況。しかし大阪では、豚まんだけなく、アイスキャンデーもおなじみの商品なのです。

大阪出身の女性、GenevieveG(@genevievecalla、以下Geneさん)が、病床のお母さんのためにアイスキャンデーを購入した際、持ち帰り時間が約1時間半かかることを相談すると、厳重に保冷してくれ、ドライアイスを溶かさない方法を教えてもらい届けることができました。

「母、あー、これこれと食べてました。なぜか今、思い出した ありがとうね 蓬莱さん」と改めて感謝を伝えた投稿には、合計約6.4万件のいいね!がつきました。

「551蓬莱さん、血の通ったええ仕事してはりますね!さすが大阪を代表する名店」と讃える声、「思い出す事も供養」「お母様が食べたいものを食べられて良かったし、無理だと言わずお母様に買ってきた主様も、溶かさずにお母様に届けたいと頑張ってくれた店員さんも素敵で泣ける」「そういうのって一生わすれられない」と関わった人すべてに思いを寄せる人もいました。

「母の誕生日が近かったから」と投稿した思い出に、こんなにも反響があるとは思いもよらなかったというGeneさんと551蓬莱にお話を聞きました。

真夏に「551蓬莱のアイスキャンデー」と望んだ母

くだんのエピソードは13年前の8月末のこと。当時、Geneさんの70歳のお母さんは大腸がんを患っており、余命わずかと言われていました。

Geneさんが幼い頃から、悪性関節リウマチを患い、闘病しながらGeneさんと姉を育て上げた母。アイスを好み、食べている姿に記憶はありますが、551蓬莱のアイスキャンデーを食べている姿は見たことがなかったそう。

「551蓬莱のフルーツのアイスキャンデーが食べたい」と病床の母が言った時は、姉とふたりで顔を見合わせました。「551蓬莱?どこにあった?難波?阿倍野?北花田?程度の知識しか、その当時は持っていませんでした。病室で、朝、言われて、“買いに行かねば”と焦った気持ちを覚えています」。

大阪南部の河内長野市にある病院から車で向かったのは、なんばにある本店。イチゴやミカンの入ったフルーツのアイスキャンデーを選び、会計をするタイミングで、病気の母のために買ったこと、今から運転して病院まで戻ることをなんとはなしに店員さんに話すと、「え、末期がんのお母さんが食べたいん?河内長野へ?」という反応に。

「ドライアイスはこれだけで足りる?」などと会話をしていると、他の店員さんもわらわらと集まってきて、「これならいけるんちゃう?」などと大量のドライアイスとパッキン(段ボールのこと、一部のエリアでパッキンと言います)を用意してくれたそう。お店を去る際には、「“車は暑くなるからこのパッキンに、カバーをかけてなるべく日陰を走って、あっ、車やから無理か…”“エアコンを効かせて車の日除けカバーがあればそれを上にかけて! 後は病院に着いたら気をつけて他の人にバレないように ダッシュして”」などのアドバイスを受けました。

約1時間半かけて、病室へ戻り、凍ったままのアイスキャンデーを母に見せると、「あぁ、これこれ!これが食べたかってん」と喜んで食べてくれたそう。「ひと口食べてありがとうと言ったので、もう終わりかな?と思ったのですが、姉と“暑い中、食べて欲しいから買ってきたよ”と伝えると全部食べてくれました」。

息をひきとったのは、このできごとの約10日後。「60才の時、別の医師から悪性関節リウマチの人の寿命まで生きたからいいやんと言われて母は憤慨し、そこから10年生きることができました」とGeneさん。

「母の病気、障がいがあったから、家族で延命治療は望まないことを話していました。入院はしましたが、長年リウマチの痛みに耐えてきたので痛みだけ取って後はなるように、と方針は決まっていました。母はよく、“人は死ぬまでに食べる量が決まっているから、それをこの世で食べないことには死ねない”と言っていました。入院中は、かつおの入った梅干しなどを食べたいと言い、最後に551蓬莱のアイスキャンデーを求めました。主治医の先生も、好きなもん食べさせていいよと言ってくださり、コロナ禍前だったので自由に病院に出入りできたのもあり、母の希望を叶えることができました」。

551蓬莱への思いを改めて聞くと、「ほんとに大阪のいい意味でのお節介文化で、とても大阪らしい対応、大阪に住んでいてよかったと思いました。とても暑い日でお客さまの対応にも忙しそうだったのですが、お店の皆さんが運べる方法を真剣に考えてくださって、“お母さん食べられたらいいね、食べてね”との言葉がとても嬉しかったです。551蓬莱さんの店員さん皆さんが“頑張ってよ”とまるで母のことを知っているかのように思って、お店から送り出してくれたことに感謝です。お礼を今まで言えてなかったのですが、本当に感謝しております」。

Geneさんは「551蓬莱は豚まんやんね」と言われるたびに、「アイスキャンデー、おいしいで」と宣伝して回っているそうです。

また、寄り添ってくれた医療従事者さんやソーシャルワーカーさん、皆さんにも感謝の気持ちがいっぱいとのこと。「母にとって、とてもいいこの世での最後でした。私たち家族にとっても納得のできるお見送りができました」と話してくれました。

当時のことについて551蓬莱に聞くと…

551蓬莱では、フルーツのほかに、ミルク・チョコ・小豆・抹茶・パインの6種(各160円)のフレーバーアイスキャンデーを販売(※取り扱い店舗は限られており、夏季限定で販売の店舗もあり。本店および通販では通年販売)。アイスキャンデーを6本以上購入の場合は、2時間まで対応のドライアイスをサービスしています。

551蓬莱に当時のことを伝えると、「すでに10年以上経過しており、誰が対応したのかは不明なことをとても残念に思います。喜んでいただけたこと、感謝申し上げます」とのこと。

今回のエピソードに、「今度大阪行ったら買ってみます。豚まんとちまきしか知らない」という声もありましたが、「亡父が会社帰りのお土産で、同じく河内長野の家まで持って帰ってきてくれた」「関西では551といえばアイスキャンデーと豚まんはほぼセット。関西以外の人は、551のアイスキャンデーを知らない人が多いことにおどろきました」「豚まんよりもこっちの方が子供の頃食べてた記憶残ってる。ミルク味が好き」と関西人から反響が続出。そんなアイスキャンデーは、蒸し暑い大阪の夏を涼しく過ごせるように、と昭和29年から変わらない製法で作られています。

余談ですが、アイスキャンデーを入れてくれる紙のパッケージは、シロクマのロゴがおなじみ。そんな縁から551蓬莱は、大阪「天王寺動物園」にシロクマ、ゴーゴくんを2006年に寄贈。2015年にイッちゃんを寄贈し、メスのホウちゃんが生まれています。現在、ゴーゴくんとイッちゃんはブリーディングローン契約に神奈川県のよこはま動物園ズーラシアにいますが、11月25日に4歳になったホウちゃんはみんなから愛される存在に。同園で、ホウちゃんを見る度に551蓬莱を思い出している人も関西人であれば少なくないハズ。

関西での551蓬莱は、Geneさん一家のように、たくさんの人に心あたたまる思い出をもたらしていることでしょう。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)

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