今回は、厚生年金に35年加入している場合、60歳から年金をもらえるのかについてです。
Q:厚生年金に35年はいってます。60歳からを老齢厚生年金もらえる?
「厚生年金に35年はいってます! 60歳から老齢厚生年金をもらえますか? もらえれば、どのくらいもらえますか?」(けんさん)A:老齢厚生年金は、生年月日にもよりますが、原則として65歳から受給開始します。手続きすることで60歳から受け取ることができますが、デメリットもありますので、慎重に検討しましょう
男性は昭和36年4月2日以降に生まれた場合、女性は昭和41年4月2日以降に生まれた場合、老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取ることができます。それ以前であれば、生年月日によって60代前半で「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れる場合があります。相談者が男性で昭和36年4月2日以降に生まれた場合は、65歳からの年金受給となりますが、希望すれば、60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ることができます。老齢厚生年金と老齢基礎年金は同時に、繰り上げ受給をしなくてはなりません。
繰り上げ受給にはデメリットもあります。いったん繰り上げ受給すると取り消しできないうえ、1カ月早くもらうごとに、本来の年金額から0.4%減額※されます。一生涯もらえる年金額が減額されてしまうため注意が必要です。
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減額される年金額の計算式は、次のようになります。
・減額率(最大24%)=0.4%×繰り上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数
例えば、相談者が65歳から月額14万円(年168万円)の年金を受け取れると仮定し、60歳から年金を受け取る(繰り上げる)とします。この場合の減額率は、24%となります。
・減額率=(5年間×12カ月=60カ月)×0.4%=24%
したがって、相談者が60歳から受け取れる年金額は、年127万6800円(月額10万6400円)になります。
・年額=168万円×(1−0.24)=127万6800円
(月額=127万6800円÷12=10万6400円)
さらに、年金が減額される他のデメリットとしては、60歳以降に加入できるはずの国民年金の任意加入ができない、「事後重症(じごじゅうしょう)」(障害認定日後に障害の状態が重くなってしまうこと)による障害基礎年金を請求することができなくなる等があります。公的な保障を失うこともありますので、くれぐれもよく考えて、検討しましょう。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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