「瀬戸内デザイングランプリ2024」の入賞作品展が11月23日から12月1日まで、山口県・防府市の「防府市地域交流センター アスピラート」にて開催されている。今年のテーマは「ふね」。開催初日には表彰式が行われ、山口県内の児童・生徒たちに賞状が授与された。
○ポスターで船の魅力を伝える
今年で9回目の開催となった「瀬戸内デザイングランプリ」。山口県内のデザイナーが中心となりスタートした同グランプリは、地域の子どもたちのデザイン力の向上を目指している。応募資格があるのは、山口県の小学校・中学校・高等学校・フリースクールの児童・生徒たち。今年は共催団体として山口県内航海運組合、協賛団体として日本内航海運組合総連合会が加わった。
展示会場には、子どもたちによる「ふね」のポスターが集まった。会期中は入選作品を含む全203作品を鑑賞できる。
関係者に話を聞いた。今年は作品の募集期間中、小学生の部には42校から310作品が、中学生の部には45校から635作品が、高校生の部には23校から334作品が集まったという。審査は10月7日に行われ、入賞86作品、入選130作品が選ばれた。
テーマについては「海、湖、川などに浮かぶ船は、お客さんを運んだり、荷物を運んだりして私たちの生活を豊かにしてくれます。人力で漕ぐカヌーもあれば、風を動力にする帆船、そして油や電気でエンジンを動かして進む船など種類もたくさんあります。そんな船の魅力をポスターにしてもらいました」と説明する。決まりとして、ポスターの中には「ふね」か「船」の文字を入れること、あるいは船の魅力を伝える「キャッチコピー」を入れることが求められた。
そのほかのルールについても触れておきたい。クレヨン・絵の具・写真・パソコンなど画材は問わず。ただし立体物・パネル張りは不可とした。画用紙の大きさは、小学生の部は八つ切り(タテ380×ヨコ270mm)、中学生・高校生の部は四つ切り(タテ540×ヨコ380mm)。ちなみにポスターはタテ位置のみで、ヨコ位置はNGとなっている。
○どれも力作揃い
表彰式には、審査員を務めた山口市、岩国市、周南市、周防大島町のグラフィックデザイナーが出席した。
その冒頭、主催者を代表して瀬戸内デザイングランプリ運営委員長の新村則人氏は「皆さんおめでとうございます。私は小学4年生のときに美術の先生に出会ったことで、いまこうしてグラフィックデザイナーの仕事をしています。瀬戸内デザイングランプリが、皆さんにとっての貴重な出会いの機会になることを願っています」と挨拶。子どもたちの将来に期待を寄せる。
また来賓祝辞に登壇した山口県知事の村岡嗣政氏は「皆さんの身の回りにあるモノは美しさだけでなく、機能性、使いやすさも考えてデザインされています。私たちの暮らす現代社会において”デザイン力”は今後、ますます重要なものとなっていくでしょう。皆さんもポスター制作を通じて、デザインに対する関心を深めてくれたのではないでしょうか。県としてもデザインに対する意識を高め、技術力を向上し、ひいては地域の活性化につなげていければと考えています」と話す。
そのうえで「今年のデザイングランプリは、私たちの日常生活や産業に欠かせない食料やエネルギーなどを運ぶことのできる『船』がテーマでした。県内から計1,279作品も応募いただきました。どれも力作揃いで、船の大切さ、素晴らしさが伝わってくるポスターが多かったと感じています。応募された皆さんは、今後とも豊かな感性と創造性を育んでください。将来、様々な分野でデザインを見極める力、考える力を発揮してご活躍されることを心から願っています」と村岡知事。
そして各賞が発表された。入選は各部門(小学生・中学生・高校生)より数十点、優秀賞は各部門より20点、銅賞は各部門より4点、銀賞は各部門より2点、金賞は各部門より1点を選出。名前を呼ばれた児童・生徒たちが、次々に壇上に上がった。
今年は2つの共催賞が設けられた。山口県内航海運組合 理事長賞に輝いたのは、柳井市立柳井中学校1年の山本幸和さん。山口県内航海運組合 理事長の重枝浩二氏から賞状が授与された。また日本内航海運組合総連合会 会長賞に輝いたのは、宇部フロンティア大学付属香川高等学校2年生の桑澤花衣さん。なお桑澤さんは欠席のため、後日、賞状が送られるとのこと。
JAGDA特別賞・防府市長賞に輝いたのは、山口市立秋穂小学校4年生の横沼佳也乃さん。防府市長の池田豊氏より、賞状と図書カード2万円が授与された。
そしてグランプリ・山口県知事賞に輝いたのは、山口県立高森みどり中学校2年生の小松聖明さん。村岡県知事より、賞状と図書カード3万円が授与された。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら(近藤謙太郎)