イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の戦闘をめぐり、イスラエルとレバノンの両政府が停戦に合意しました。1年以上戦闘が続いていたイスラエルとヒズボラの停戦ですが、双方にはどのような狙いがあったのでしょうか。中東支局長の増尾記者に聞きます。
まず、イスラエルとしてはヒズボラを徹底的に叩ききった、軍事的な作戦に一定のめどがついたということがあげられると思います。
特に、ここ2か月ほどはイスラエル軍は首都・ベイルートなどレバノン全域への空爆や南部への地上侵攻も始め、さらに、ヒズボラの前指導者を含めたさまざまな部門のリーダーを殺害しました。ネタニヤフ氏も「数十年後退させた」と発言していましたが、弱体化に成功したという手ごたえがあると思います。
ここで一旦、停戦をして、国境付近から避難を余儀なくされていた住人を帰還させることで、長期化する戦闘で高まるイスラエル国民の不満を払しょくする狙いもあったと思います。
一方、ヒズボラとしては、イスラエルの猛攻で消耗しきっていることは間違いなく、組織の立て直しを図りたいという思惑があったように思います。
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Q.中東情勢は今後、安定するのでしょうか?
中東情勢の安定は程遠いと思います。ヒズボラの後ろ盾となるイランは、ほかにも中東各地で武装勢力を支援していて、そうした勢力との戦闘は今後も続いていきます。そして何より、ガザでは今もハマスとの戦闘が続いていて、こちらも終わりが全く見えない状況です。
イスラエルは「7正面」の戦い、つまり7つの前線があるとよく言っているのですが、中東各地に拡大した火種の一つが収まったにすぎず、今後も予断を許さない状況が続いていきます。