もはやW杯最終予選に「絶対に負けられない戦い」というフレーズはふさわしくない。だからテレビ朝日も中継しなくなっちゃったのかな(笑)。
日本代表が2026年北中米W杯アジア最終予選のアウェー2連戦(インドネシア戦、中国戦)を2連勝で終えた。
これで6試合を終えて5勝1分けでぶっちぎりのグループ首位(得失点差は+20)。まだ4試合を残しているとはいえ、本大会出場権を得られる2位以上は決まったも同然だ。
僕も長く日本サッカーを見ているけど、こんなにスリルの少ないW杯最終予選は初めて。もちろん、今回からアジアの出場枠が4.5から8.5に増えたわけで、相手との力関係を考えれば、こういう展開になることもある程度は予想していた。ただ、やっぱり少し不思議な気持ちだね。
初戦のインドネシア戦(○4-0)は、強い雨が降る中でボールコントロールがうまくいかず、前半9分には前がかりになったところでカウンターを食らった。でも、GK鈴木が1対1の場面で落ち着いて対応した。あのプレーは大きかったよ。もっとも、あそこでゴールを許していたとしても、結局は日本が逆転していたと思う。それくらい両国の力の差は大きかった。
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インドネシアはスタメンの半分以上がオランダから国籍を変更した選手。どんなサッカーをするのかと注目していたけど、話題先行というか、トップクラスの選手はいなかった。確かに以前よりは強くなったし、観客の盛り上がりも含めて将来性はあると思うけど、まだW杯を狙えるチームじゃない。日本がしっかりと差を見せられたのは良かったんじゃないかな。
続く中国戦(○3-1)、日本はインドネシア戦からスタメンを5人変更したけど、危なげない試合運びを見せた。
後ろのポジションはGK鈴木を含めて板倉、町田、遠藤と外せない選手が多いものの、中盤から前のポジションは誰が出ても遜色ないというか、それだけ選手層が厚くなっていて、選手間の競争意識をあおる意味でもスタメンを大幅に変えたのは良かった。
ただ、守田不在の影響なのか、攻撃面がスムーズにいっていなかったのは気になったね。実際、日本の1点目も2点目もセットプレーからで、流れの中からのチャンスは少なかった。
守田はボランチだけど、ただ守るだけでなくゲームもつくれる選手。中国戦で代役を務めた田中も点を取る能力が高い選手だけど、この試合ではアピールできなかった。
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一方の中国は、ホームの大声援をバックに選手たちの気合いが入っていて、ボール際の激しさがあった。ただ、それだけでは日本との技術、経験の差は埋められないね。
勝つべき相手に勝った。そういう2連戦で、結果には何の文句もないんだけど、正直、今回の最終予選は相手に歯応えがなさすぎて、このレベルに慣れてしまうのではないかと心配になる。何しろW杯本番で勝たないといけない欧州勢や南米勢は、予選でもっと厳しい試合を戦っているからね。
アジア最終予選の他グループを見ても、韓国、イランといったW杯常連組は日本同様に着実に勝ち点を積み重ねている。強化という意味では、そういう国と真剣勝負をやれていたほうが間違いなくプラスだった。アジアの出場枠が増えたことはいいのか悪いのか、ジレンマだよ。