中国地方海運組合連合会×日本財団「海と日本プロジェクト」のコラボイベント「内航船ペーパークラフトを作ろう! ワークショップ」が11月23日、広島市内にて開催。会場となった広島港 宇品旅客ターミナルのイベントホールでは、県内の小学校に通う1年生〜6年生までの子どもたちがRORO(ローロー)船の模型作りに挑戦した。
○RORO船とは?
広島の海の玄関口であり、海運・物流の拠点である広島港。松山、呉、江田島などに向かうフェリーや高速船はその数も多く、地域の人々の大事な生活の足になっている。
「内航船ペーパークラフトを作ろう! ワークショップ」は、小学生と保護者を対象にしたもの。午前の部、午後の部ともに10名ほどが参加した。冒頭、日本内航海運組合 総連合会の林広之氏は「私たちは、船で貨物を運ぶお仕事をしています。皆さんが毎日給食で飲んでいる牛乳も、実は私たちの船で運んだ牛乳かも知れません。今日は一緒にRORO船の模型を作っていきますが、作業をしながら、日本中を行ったり来たりして一生懸命にモノを運んでいる私たちのお仕事のことも思い浮かべてもらえたら嬉しいです」と呼びかける。
イベントは工作ユニット「オトウカトウ」として活動する、おとうとしゆきさん(実験工作系教材編集者)、かとうとおるさん(イラストレーター)が面白おかしく進行した。まずは貨物船について紹介。「船には、油送船(オイルタンカー)、砂・砂利・石材専用船、ケミカル船、自動車専用船などの種類がありますね」と例を挙げていく。コンテナ船について紹介したとき、子どもたちからは「貨物列車みたい!」と元気な反応があった。
では今日のワークショップで作るRORO船とは、一体どんな船なんだろう―――?
ここで、かとうさんは船長の衣装に早着替え。ROROとは「Roll-on / Roll-off ship」の略で、荷物を積んだトラックがそのまま乗り(Roll-on)降り(Roll-off)できる貨物船のことです、と紹介した。「皆さんの大好きな牛乳がトラックで運ばれるとします。そのときトラックごと海の向こうの港まで運んでくれるのがRORO船なんです」(かとうさん)。
このあと、荷物を運ぶ方法には貨物列車、トラック、飛行機のほかに国内の港と港を結ぶ内航海運があることを改めて説明。内航船ならトラックほどの労力は要らず、エネルギーも少量で済み、それでいて二酸化炭素の排出量はトラック輸送の1/5で済む、といったことを解説していく。
子どもたちに、船の仕事を分かりやすく説明していくオトウカトウの2人。「内航船の乗組員には、船長、航海士、機関長、機関士、機関部員、司厨部員、甲板部員がいます。船員は、船に3か月乗ったら1か月まるまるお休み、そんな生活を送っています」と紹介して、子どもたちのRORO船に対する興味を喚起していった。
○RORO船のペーパークラフトをつくってみよう!
そして、いよいよ内航船ペーパークラフトづくりに挑戦することに! まずは台紙から船体を取り外し、あとは丁寧にヤマ折り、タニ折りを繰り返しながら船首、右舷、船首の底、船尾の順番で組み立てていく。
作り始めると、子どもたちの集中力は相当なもの。小学1年生の男の子も、ひとりで黙々と細かい作業を続けている。
終了時間も押し迫る中、はじめに上級生の男の子が模型を完成させた。キャプテンROROが将来の夢を聞くと、宇宙飛行士になりたいと言う。「君ならなれるよ。応援しているよ」とエールを送るキャプテンRORO。ササッと似顔絵を描きあげると、船に乗せてあげるのだった。
そして無事にワークショップは終了。参加した子どもたちは、みな満足そうな表情で会場を後にした。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら(近藤謙太郎)