アーセナルが“絶対的司令塔”の帰還とともに息を吹き返している。
2年連続でマンチェスター・シティとの熾烈な優勝争いに敗れたアーセナルは、今夏にイタリア代表DFリッカルド・カラフィオーリとスペイン代表MFミケル・メリーノを獲得。EURO2024で躍動した即戦力をスカッドに加え、新シーズンを迎えた。
しかし、タイトル獲得への大きな期待とともにスタートした2024−25シーズンは序盤から苦難の連続となる。新戦力のカラフィオーリやメリーノをはじめ、主力級に負傷者が続出。21年ぶりの優勝を目指すプレミアリーグでは、第8節までに3人の退場者を出すなど不安定な戦いが続き、0−2で敗れたボーンマス戦からは4戦未勝利に。上位の座はキープしているものの、第12節終了時点で首位リヴァプールとの勝ち点差は「9」となっている。
それでも、ミケル・アルテタ監督が絶大な信頼を寄せるノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴーアが不振に陥っていたチームに光をもたらす。足首の負傷で約2カ月間戦列を離れていた25歳の主将は、復帰2戦目となったチェルシー戦で絶妙なラストパスからブラジル代表FWガブリエウ・マルティネッリの得点をアシスト。続くノッティンガム・フォレスト戦ではイングランド代表FWブカヨ・サカの先制ゴールをお膳立てし、直近のスポルティング戦でもPKを獲得するなど数多くのチャンスを演出した。
その貢献はファイナルサードでの創造性だけに留まらない。状況に応じて最終ラインの脇まで下りてきてビルドアップを円滑化させ、守備時には積極的かつ精度の高いプレスでチームを牽引。こうしたウーデゴーアの働きにより、アーセナルは勢いを取り戻し、ノッティンガム・フォレストを3−0、スポルティングを5−1で撃破し公式戦連勝を飾った。
チームメイトもウーデゴーアの影響力を絶賛している。最終ラインの主軸であるフランス代表DFウィリアン・サリバはイギリス紙『ミラー』にて「彼は世界最高の選手の一人であり、違いをもたらしてくれる。戻ってきてくれて本当に嬉しいし、再びケガをしないことを願っているよ」と前置きした上で、次のように言葉を続けた。
「彼と一緒にプレーするのを楽しまなければならない。チームが良くなっていくのを目の当たりにすることができるんだ。彼はトッププロであり、練習場でハードワークしていたから、こうして戻ってきたことには驚かない。でも、4週間もプレーしていなかったのに、このレベルで戻ってくることは簡単ではない。正直に言うと、彼はフィールド上で今まで見たこともないような新しいことをするので、毎試合衝撃を受けているよ」
また、右サイドで好連携を築くサカもイギリス紙『イブニング・スタンダード』にて「信じられない選手だ。彼が戻ってきた日、僕の顔には満面の笑みが浮かんだよ。僕たちの相性の良さは周知の事実だろう。彼とプレーするのがどれほど楽しいことか。戻ってきてくれて本当に嬉しいし、残りのシーズンも健康でいてくれることを願っているよ」と語り、ウーデゴーアの復帰を喜んでいる。
そんなアーセナルは現地時間30日に控えるプレミアリーグ第13節でウェストハムとのロンドン・ダービーに臨む。公式戦3連勝を飾り、さらに勢いを増すことはできるだろうか。帰ってきたウーデゴーアのパフォーマンスにも注目が集まる。