顔の形状を変えるほどの腫れを引き起こすこともある、親知らずの抜歯。みるみる膨れる腫れは、やがて常識を軽く超えるサイズになり……。
美少女の形をした”腫れ”に恋をするギャグ漫画『惚れた腫れた』は、2024年にXに投稿され拡散された話題作だ。
そこで今回は『惚れた腫れた』の作者である野火けーたろ(@nobi_yasashii)さんに、制作のきっかけやこだわったポイントなど、話を聞いた。(青木圭介)
(参考:抜歯で腫れた頬が形造ったのはまさかの…… "腫れ"にときめく創作漫画『惚れた腫れた』)
ーー本作を制作したきっかけを教えてください。
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野火けーたろ:最初は、出版社の方に読切を描いてほしいと依頼されたのがきっかけでした。それで本作を描いたんですけど、結局ボツになってしまって。なので手を加えて、同人誌として発売しようと思ったんです。実際に『惚れた腫れた』は、同人誌即売会で販売しました。
ーー『惚れた腫れた』は、設定から非常にユニークな作品だと感じました。物語が誕生した背景は?
野火:僕自身親知らずを抜いた経験があるんですけど、親知らずって抜くと腫れるイメージがあるじゃないですか。以前テレビに4本同時に抜いた人が出ていて、その方はびっくりするくらい腫れてたんですよね。そこから腫れがどんどん大きくなって、どんな形になっていったら面白いかなと考え始めて。それが最初だったと思います。
ーー作中の腫れは、服も着ていましたよね。
野火:腫れの服のようなものは、一応模様っていう設定なんです。自然に描いたら裸なんですけど、腫れが裸だとそっちに目がいって少しブレちゃうじゃないですか。裸に触れなきゃいけなくなるなと感じたので、服のような模様を付けさせてもらいました。
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ーー描くうえで、こだわったポイントはありますか?
野火:抜歯で人のような形に腫れるという設定がロジック的に結構飛躍はしてると思うんですけど、そこにどう説得力を持たせるかは考えました。本当にこの状況になった場合、どうなるかも考えて。例えばストレスで腫れがひどくなって、ストレスが軽減されると引いていくとか。そのなかで、当人たちは至って真面目だけど、客観的に見るとめちゃくちゃだなという雰囲気を作る。そのリアリティと雰囲気作りには、気を配りましたね。
ーー野火さんがギャグ漫画家を目指したきっかけは?
野火:実はギャグ漫画家を目指そうと思った自覚はなくて、ギャグ漫画しか描けなかったんですよね。何を描こうとしても、結局ギャグ漫画になってしまうんです。
ーー好きなギャグ漫画家はいますか?
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野火:『ギャグマンガ日和』の増田こうすけ先生や、「アフロ田中」シリーズののりつけ雅春先生が大好きです。影響を受けてるどころか、ほぼ血肉ですね。昔から楽しませていただいています。
ーー最後に、今後はどのような漫画を描いていきたいですか?
野火:シンプルに、めちゃくちゃ売れる漫画を描きたいですね。『惚れた腫れた』もそうなんですけど、僕のギャグ漫画には”キャラクター”があまりなくて。売れる漫画にするためには、キャラクターを愛してもらうことが必要だと思っています。
あとは、ギャグだけだとどうしても限界があるのかなとも感じていて、例えば”ギャグ×ラブコメ”とか”ギャグ×サスペンス”とか。ギャグと他のジャンルを掛け合わせた内容で、「このキャラクターがやるから面白い!」とキャラクターを愛してもらえる漫画を描きたいです。
文・取材=青木圭介
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