PTAから嫌われた時代も『クレヨンしんちゃん』聖地ヨーカドー閉店にファン涙……評価一変の理由は?

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2024年11月29日 08:10  リアルサウンド

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春日部駅前にあるしんちゃんの巨大看板。

■「イトーヨーカドー春日部店」閉店日にファンが殺到


 漫画・アニメ『クレヨンしんちゃん』の“聖地”として有名だった「イトーヨーカドー春日部店」が、11月24日に閉店。1972年に開店、現在地に1996年に移転してオープン、駅前のシンボルとして親しまれていたが、旧店舗時代を含むと52年の歴史に幕を下ろした。最終日は朝からファンや地元の人たちが行列を作り、シャッターが閉まる瞬間を多くの人たちが見届けた。


(参考:【写真】しんちゃんのママで主婦代表・みさえが本気で考案した大容量エコバッグ


 『クレヨンしんちゃん』は埼玉県の春日部市が舞台。「イトーヨーカドー春日部店」は作中に「サトーココノカドー」という店名で登場し、しんちゃん一家行きつけのスーパーとして知られていた。2017年にはコラボ企画の一環で、屋上にある看板が「サトーココノカドー」に張り替えられたこともあった。コラボ初日にはしんちゃんが1日店長を務め、話題を呼んだ。


 『クレヨンしんちゃん』は、1990年に双葉社の漫画雑誌「漫画アクション」で連載を開始。来年で連載開始35周年という節目を迎える。その間、アニメ化を筆頭に多彩なメディアミックスが行われたが、連載開始当初と現在でこれほど評価が一変した漫画は珍しい。青年誌で連載が始まった漫画なので、もともと過激な表現が多かったが、1992年にアニメが放送されるとその“お下品”な表現に批判が殺到したのである。


■しんちゃん一家、現在では“理想の家族”に


  アニメのしんちゃんの口癖や仕草を真似する子どもが続出し、日本PTA全国協議会の「子供に見せたくないTV番組」で、バラエティ番組などとともに上位にランクインする常連になってしまった。現在では考えられないことだが、マスコミからも、学校の現場からも批判が殺到していたのだ。ところが、回を重ねるごとにアニメの視聴率はうなぎ上りとなり、確実に子どもたちの人気を捉えていったのである。


  2000年以降は、しんちゃん一家を理想の家族像として評価する声が高まっていった。特に、しんちゃんの父・野原ひろしは“理想の父親”とされることが多い。2004年には旧春日部市が市制施行50周年を記念し、しんちゃん一家を特別住民登録。2009年度からは「日本一子育てしやすいまち」づくりへの取り組みの一環で、「子育て応援キャラクター」として登場。2010年度からは、「まちの案内人」として市の広報活動で活躍している。


 『クレヨンしんちゃん』が国民的な作品になり得た要因の一つは、『サザエさん』や『ドラえもん』などと同様に、作中に普遍的な家族愛が描かれていたためであろう。何より、臼井義人のギャグセンスの素晴らしさ、しんちゃん一家はもちろん、脇を固めるキャラの強烈な個性も見事で、ギャグ漫画としての完成度が高い点も見逃せない。どの巻から読んでも笑えるので、ぜひこの機会に一気読みしてみてはいかがだろう。


(文=元城健)



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